第63章 例えばこんな結婚式を 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
さっと みくりが
先程声を掛けてくれた
撮影スタッフの人の背中に隠れながらも
チラチラと その人の身体の影から
こちらを盗み見ては隠れてしまう
「あ、あの?どうしたんですか?」
「こら、みくり。
その人が困ってるから止めなさい」
おずっと 杏寿郎の言葉にみくりが
その人の影からそぉーっと出て来て
「だってぇ、杏寿郎がぁ、
杏寿郎がカッコイイんですけどぉ~。
それも、犯罪的にぃいいっ」
「奥さんどうしたんですか?
撮影長引いて、テンションおかしく
なっちゃったんですか?」
そのまま ズルズルと床に
みくりが崩れて行くから
杏寿郎がその腕を引いて立たせると
「俺がカッコイイのはいつもだろう?」
「杏寿郎はいつも
カッコイイ…かも知れないけどっ。
今日の、とりわけ今の杏寿郎が
私の中で、破滅的にカッコイイのですが?
説明をして頂きたいッ」
そうだ 忘れてた
みくりのストライクゾーンは狭いが
ドストライクだった場合は…
こうなる…のか
はぁーーと杏寿郎が
ため息を付いて
さっき俺が感じたあの感動にも似た
あの感情を返して欲しい
「いや、俺は、君の
その赤のドレスに合う物に
着替えさせられただけだぞ?」
赤のドレスと言う言葉に
みくりがハッとした顔をして
「杏寿郎っ!」
「そんな大きな声を、
出さずとも聞こえる!
どうした、みくり。何だ?」
「これっ!このドレスっ、
凄くないっ?凄いよね?
ビックリしちゃった、私ね、
今日ドレス、コレで3着目だけど。
このドレスが、一番好き!」
そう言って へへへへと
笑って裾を持って見せて来るから
本人もよっぽど嬉しい様だが
その みくりの笑顔に
釣られる様にして杏寿郎も笑顔になると
「ああ、俺も、そう思うぞ?」
「本当?これ凄いいいよね?
これも麻理恵先輩のドレスなんだって」
「ああ、いいな。
君の為に、誂えた様に似合ってる」
かぁっとみくりの頬が
みるみる内に赤く染まって行って
「バカッ、杏寿郎。
そうじゃないってば!似合うとか
似合わないとかじゃないってっ。
このドレスが、
凄い素敵だねって言ってるのッ!」
「その、素敵なドレスがお似合いの
俺の奥さんも、負けずに素敵だがな?」