第63章 例えばこんな結婚式を 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
正直 あまりにも
カッコ良すぎて直視できないんですが?
え?これはどう言う事?
ソローっと物陰から
中を伺おうとして
「奥さん、どうしたんですか?」
遅れて休憩から戻って来た
撮影スタッフに不審な動きをしてるのを
見つけられてしまって
「いや、あの、これは…その…ッ」
「あ。もしかして、座って
動けなくなりましたか?手、貸します?」
私が転んで立てなくなったのかと
そう都合のいい解釈をしてくれて
助け起こすかと手を差し伸べられる
「いえ、大丈夫です。
私には、これがありますので」
ブーケじゃなくてこれをと
小道具に渡されたある物を
支えにして みくりが立ち上がると
「ああ、奥さん。赤似合いますね」
「え、あ、ありがとう…ございます」
そのスタッフの人が
中に入りながら
「奥さんの方も、準備OKでーす」
そう大きな声で言うので
ここに居られない
いや見つかった時点で居られないんだけど
意を決して そのエリアに足を踏み込んだ
勿論 結婚式の主役は
新郎新婦だけど
こう言った写真のメインは新婦なのだから
主役の登場に視線がこちらに
一度に集まっているのが分かる
そうだ 下を 下を見よう
みくりが一歩 踏み出すと
映像の水面が揺れて
鯉が ゆったりと 優雅に泳ぐのが見える
鯉 綺麗…
気持ち ちょっと持ち直した
意を決して 俯いていた顔を
上げると
杏寿郎と 視線がぶつかった
ほんの 数秒… 時間が止まって
その後の 数秒も ゆっくりと
止まっているのかと思う程に
ゆっくりと 流れる
瞬きを忘れて その姿に釘付けになる
想像以上…だったからだ
赤いドレスを纏った
俺の奥さんは
あのドレスを俺が画像で見て
それを纏った姿を想像して居た
その姿以上の 鮮烈な衝撃でしかない
言葉が浮かばない
和のテイストのインパクトのある
あのドレスに全く 食われて無くて
みくりの肌の色に
赤いドレスは冴えわたっていた
どう 声を掛けようか
そう思って居た時に
パクパクとエサを食べに来た鯉の様に
みくりが口を開閉していて
俺の方を ゆっくりと
黒のグローブの手で指さして来て
「無理ぃいいっ!無理無理っ!
ダメなやつ、それも非常に」