第63章 例えばこんな結婚式を 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
「口紅の色も、
赤味の強い色にしますね。
ドレスのインパクトが強いので、
これぐらいして、丁度いいです」
ドレスに合わせてヘアアレンジと
メイクを直して貰って
ヘアとメイクの担当のスタッフの人が
みくりの両サイドから
「お似合い…です、とても」
「はい、赤いいです。
白も、青もお似合いでしたけど。
赤が一番お似合いです」
そう2人のスタッフがそれぞれに
感想を述べて来て
「ありがとうございます。
でもこれ、先に
自分のスマホで撮りたいです」
数枚自撮りして
撮ってくれると申し出をしてくれたので
甘えて全身と後ろも撮って貰った
「このドレスで最後なので、ファイトです」
「ご帰還、お待ちしてます」
みくりのお色直しを待ちながら
杏寿郎はアクアトピアの
館長と2階の
和風のエリアで話をしていた
「やはり、
そちらの会社にお任せして良かった」
「それはありがたいお言葉ですが、
まだ、撮影も終了しておりませんし。
ちゃんとした形での納入もまだなので」
「いや、今日は端からずっと
見学をさせて貰っていたが。
きっと、いい物になると確信してしまってる」
「昼間に、お邪魔させて頂いてたのですが。
妻もこちらの事はとても気に入って居たので。
今日は、ここで結婚式が出来て良かったと、
仕事の事を忘れてしまって居た位で。
クライアントの前で、こんな話をして
しまっては、それこそ上に怒られそうですが」
「この地区に大きな結婚式場が、
あったのは、ご存じかね?」
それはコロナで倒産してしまった
あの大きな式場の事で
「私は、妻とあそこで結婚式を
あげたんだ。40過ぎてから
やっといい相手が見つかってね。
だが、こんな事になってしまってね。
とても、寂しく感じてるんだ」
「あの式場で、式を挙げた友人や
職場の先輩を知ってます。
だが、俺と俺の妻の
結婚式の思い出の場所はここです」
杏寿郎の言葉に
初老の館長は一瞬 目を見開くと
その後すぐに 目を細めて
うんうんと頷いた
「そうだね。
今日もう、始まってたんだね。
うちの、水族館としてだけじゃなく。
結婚式場としての、スタートが。
この話を、断わらなくて良かったよ」
「館長さん…、ええ、また妻と来ます」
きっとここに来る度に
今日の事を思い出すだろう 俺も
みくりも