第63章 例えばこんな結婚式を 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
無数の視界を舞っている
それに目を凝らすと
コンフェッティシャワーで
それも ただの四角い紙吹雪きではなくて
白や 赤や 淡いピンクと
それから濃いピンク色をした
ハートの形のシャワーだと気付いて
思わず その舞う ハートに手を
無意識に伸ばしてしまって居て
杏寿郎がこちらに手を伸ばすのが
見えて
何だろうと思って居ると
髪に付いた そのハートの
紙吹雪を摘まんで取ると
みくりの手の上に乗せて来て
「ありがとう、
髪に付いてたんだね」
そう言って杏寿郎の方へ向いた時に
背景の映像も
無数に舞う ハートの紙吹雪に
変わっていたのだと気が付いて
「俺達も、知らされてない演出だったな」
そう苦笑いをしながらも
杏寿郎が言って来て
「でも、驚いちゃった」
一旦カメラが止まって
それまでの緊張感が緩んで来る
自由な結婚式をして欲しいと言う
アクアトピアの意向が
このサプライズの演出から感じられて
モデルじゃなくて
本当の夫婦になるカップルでって
指定して来たのは
この辺りの狙いがあったからなのかも?
「煉獄さぁーん、みくりさん、
ほら、これ、これ。さっきの。
誓いのキスの動画ね。俺も、
自分のスマホで撮影してたのっ」
善逸が自分の目尻に浮かんだ涙を
指で拭いながら 再生させた動画を
こちらに向けて見せて来て
舞い散る 無数の ハートの中で
キスを交わす姿が 収められていて
善逸のスマートフォンでこの映像なら
ちゃんとした カメラの映像は
ハッとして みくりが
カメラマンの方を見ると
満面の笑みを向けて来ていたので
あちら的にも いい画が撮れたのだろう
隅の方に館長の姿が見えて
杏寿郎が頭を下げると
アクアトピアのスタッフと
館長がこちらに来て
「すいません、
こんなに散らかしてしまって」
自分達が用意した演出ではないとは言えど
館内を紙吹雪で散らかしたのは
散らかしたんだもんな 実際に
「正直、あちこちの
水族館で、ウエディングはあるから。
当館らしい、のは出来るのかと
不安でしてな。でも、今のを見て
当館らしい、結婚式を皆さんに
お届けできそうだと、そう思えましたよ」
「私も、いつかは、ここで…って
思える様な、結婚式で」