第63章 例えばこんな結婚式を 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
最終的な打ち合わせを終えると
館内は閉館前だがもう
平日な事もあって
会場の用意が整ったと
アクアトピアのスタッフの人が
こちらに声を掛けて来てくれて
館内の音響が
普段の物から結婚式様の
音楽へと切り替わる
みくりが支度を終えると
ファーストミートも
杏寿郎には内緒で撮影したいから
会場のうちの会社の社員が
そのタイミングに合わせて
杏寿郎を別の方向に向かせてくれるから
驚かす様にしてくれと
苦手なアドリブを依頼されてしまった
肩でも叩けばいいのか?
それとも 向こうを向いてる
杏寿郎にバレない様に
カメラにだけ向けて
内緒っとでもしたらいいのか?
既に ゲストの人が何人か
入口のホールには集まっていて
杏寿郎が炭治郎と受付をしているのが見えた
一緒に受付をしてるシーンを撮るとしか
杏寿郎には伝えてないから
サプライズの演出だと
本当の素のリアクションが絵として欲しいと
向こうに と言ってもカメラの人に言われて
杏寿郎の左右に炭治郎と善逸が
ピッタリとこちらを向かせない様に
立ってくれていて
そろーっと足音を忍ばせながらに
杏寿郎に近づいて
少しだけ 距離がある段階で
クルっとカメラの方に向き直ると
持っていたブーケを
自分の背中側に回して
視線を一度床の足元に落とすと
自分の脳内で 呪文の様に
私は女優
私は女優
そう 私は女優と
繰り返して スゥっと息を吸うと
自然と緊張が消えてなくなって
下に向けていた視線をカメラに向けると
ブーケを前に回して
自分の顔を一度隠すと
そのブーケの影で
しぃーと内緒のポーズをする
私は モデルではないのだから
思いつく事なんてこれ位だし
向こうが欲しい絵が撮れたかは知らない
後は編集で好きにしたらいい
杏寿郎の方に向き直ると
そのまま ドレスの裾を持ち上げて
タタタッと駆け出すと
トンっと床を蹴って
思いっきり 飛びついた
「杏寿郎!」
「みくりか?っと…」
そのまま 呼ばれて
振り返って すぐ真後ろに居た
みくりがこちらに
飛び込んで来たので
そのまま受け止めると
軽々しっく その場で
お姫様抱っこで抱き上げられてしまって
「ちょ、杏寿郎ッ。降ろしてッ」
「ハハハハハッ、それは断る!」