第63章 例えばこんな結婚式を 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
杏寿郎とうどん食べた気がする
あれ いつだったっけ?
うどん
ー『腹が減っては戦は出来ん。
食べる事も、鬼殺の本分。
どうした?食べないのか?
もしや、月見うどんは嫌いだったか?』ー
あれ?そんな話したっけ?
だって私 うどんそんなに好きじゃない
「う…ッ、小野寺少女…か。
今の爆発の被害状況はどうだ?」
「いや、それは私は警察でも
消防でもないから、分からないけど。
そもそも、私は杏寿郎と同い年だよ?
同じ大学行ってたんだから知ってるでしょ?」
「そうか、前にも確か
そう言われたか。どうにも俺には
君が俺より、年下に見えて仕方ないらしい」
「先ほどの鬼は移動したのでしょうか?」
自分でも驚いてしまった
口が勝手に言葉を紡いでいる
飛び飛びに戻る
断片的な記憶の欠片
1分も無い様な
そんな短い記憶が また見えて
「君は甘露寺達と合流を、
俺はあの鬼を倒す…ッ」
甘露寺?甘露寺って蜜璃ちゃんの事?
まただ またさっきみたいに
映像が見えて来る 現実に
幻の景色が 記憶が重なる
路地裏で背中を預けて
呼吸を整えている杏寿郎を
自分の裏に隠す様に立つと
路地の間から燃え盛る帝都を見ながら
散ってしまった仲間の位置を
色々な気配が邪魔をして探り切れない
わあぁああんッ
子供の泣き声が聞こえた
「まだ、子供が建物の中に
取り残されている様です。
私は、あの子供を救出してから
甘露寺さん達と合流します!
煉獄様も御武運を」
「待てッ、まだ…」
そうだ そう…だったんだ
俺がそれを止めて居れば
彼女は ああならずに 済んでいた
そうだ
済んだんだ
まだ 奴が仕掛けた爆弾も…
日輪刀を飲み込む狼も残ってたんだ
俺が命じたからだ
人命救助を最優先にと
彼女は それに従っただけだ
上官である 俺の命令通りに
ガシッと杏寿郎の手が
下から伸びて来てみくりの腕を掴んで
「行くな」
「杏…寿郎?」
下からこちらを真っすぐに見上げて来る
その目は どちらの杏寿郎の物なのだろうか?
「行くな、みくり。
君は、俺の側に居るんだ。
離れるな。いいな?」
声…が 重なって… 聞こえて
その言葉は どっちの彼でもなくて
どちら共の彼の…言葉なのだと気が付いた