第63章 例えばこんな結婚式を 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
バシャと奥から
水が跳ねる音がして
その動きもリアルで驚いたのだが
「凄いな、本物みたいだ」
「杏寿郎、違う違う。本物、本物。
一番奥の部分は、川で区切られてるから」
その水の映像のエリアと
本当に水が流れている部分が
リアルと映像の区切りを無くしてるのか
そう見せる様に光量も絞ってあるんだろうが
上から音を立てて 降って来る様に
滝になって水が落ちて来ている場所があって
その奥の壁面の滝の映像と重なり
奥行きのある映像になって居る
「この辺りは、夏のエリアだな」
その映像が段々と暗くなって
真っ暗な世界になると
足元から淡い淡い
緑色の 丸い光が
ふわっとひとつ またひとつと
不規則な軌道を描きつつに
足元から 浮かんで壁に吸い込まれて行くと
蛍が 壁面に 飛び交う映像になって行く
「蛍か、うむ。
中々に風情があっていいな」
フッとその蛍の姿が消えて
真っ暗になると
ヒュ―――ッと聞きなれた音がして
四方の壁面に 花火が一面に咲き乱れる
その花火の打ち上げに連動して
四方のスピーカーと床の振動が
その映像の臨場感を与えて来て
花火大会の会場に一瞬で移動したかの様だ
「凄いよ、杏寿郎、花火ッ」
「見えてる、見えてるし見てるから。
コロナで全国の花火大会も
中止なってたからな。この数年
花火も観て無かったな…」
「ちょっと、規制緩くなって来てるでしょ?
今年は、観に行けるかな?花火も。
それに、花火って元々は
大飢饉や疫病を祓うのが始まりだから。
コロナの終息祈願でもいいのにね」
そうみくりが言って来て
「そう言えば、神南港みなと花火も
今年は開催されるらしいぞ?
来月が、楽しみだな。みくり」
「え?あ、ああ。
今年はあるんだね。みなと花火。
みなと花火は県内でも、一番
最初にある、花火大会だもんね。
でも、人の頭ばっかりもなぁ~」
ニッと杏寿郎がこっちを見て
笑って居るのが見えて
何か秘策でもあるのだろうか?杏寿郎には
人だらけの場所で見なくて済むと言えば
真っ先に浮かぶのは
特別観覧席だけど…
「邪魔の無い場所から見られるが?」
「花火?見られるの?」
「ああ。見れるぞ。今年は」
ふふっと
みくりが笑って
「じゃあ、期待して置こうかな?」
「ああ、そうしてくれ」