第62章 例えばこんな結婚式を 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
みくりが自分の手の
カップのコーヒーを飲むと
杏寿郎の身体に自分の
背中を預けて 見上げる
「こうしてるだけで、
十分だよ、私は」
「腰、辛そうだがな?擦るか?」
スルッと杏寿郎の手が
腰に添えられて当てられて
腰の辺りを円を描きながら
撫でられてしまって
腰の痛みを和らげるのに
そうしてくれたのかと思うと
嬉しくなってしまうのだが
「杏寿郎、ありがと
杏寿郎のその気持ちで
十分だよ、ふぁあ…ッ」
みくりが自分の口を押さえて
自分のあくびを手で隠そうとし居たが
「眠いなら、このまま
俺の身体に持たれて寝るといい」
ふぁああっとあくびをして
こてんっとソファの上で
みくりが横になった
頭を杏寿郎の膝に乗せて来る
見損ねていた映画の続きを
ウトウトと眠っている
みくりの頭を撫でながら
コーヒーを飲みつつ観て居ると
「実に、贅沢な時間だな…、
そうは思わないか?奥さん」
すぅすぅと穏やかで
幸せそうな顔をしているみくりの
寝顔を見ていると そっちにばかり
目が行ってしまって 折角の
観かけの映画も 集中できずにいて。
自分の身体を杏寿郎が屈めると
眠るみくりの頬にキスを落とした
ーーー
ーー
ー
数日後の6月21日
仕事を終えて帰ると
玄関までみくりが
いつも通りに出迎えに来てくれて
「お帰り、杏寿郎。
今日はね、お家である事を
したいなぁって前々から思っててさ。
丁度、良さそうなのが売ってたからね」
「要するに買ったんだな?何かを。
で、何を買ったんだ?みくり」
「こっち、来たら分かるよ?
手、洗って、着替えて来て?」
そう言われて促されるままに
手洗いとラフな服装に着替えて
ダイニングに向かうと
大皿に ズラッと串が打たれている
食材が並んでいて
テーブルの中央には
卓上のフライヤーがあって
その大皿の隣には 深めの皿に
練り粉とパン粉が用意してあって
衣もここでつけて揚げるシステムらしい
「つけダレもね、数種類用意したんだよ」
「要するに、自宅で
串家物語したかったのか?」
「銀色のヤツ、冷えてるよ?
万願寺売ってたんだよ、いんげんと。
いんげんと万願寺あったら、揚げるでしょ?」
揚げるしかないと言いたげに
みくりが言って来て