第62章 例えばこんな結婚式を 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
こちらから彼女のスマートフォンに
電話を掛けてみるも
コールをしても出る事は無くて
その呼び出し音を聞きながら
色々な事を考えてしまう
俺の今朝の態度に愛想を尽かして
結婚してひと月で実家に戻ってしまったのか
だとしたら みくりのお父さん
辺りから 俺にお叱りの電話でも
1本あるのが普通だろう
あのお母さんから しばらく家で
預かるからとLINEの一つでもありそうだ
だが…それも無くて
彼女の体調不良の原因と
行為を控えたい理由を考えれば
その理由として
思いつく事が ひとつ…
出来た…のか?
いや 俺としてはそれは
そうしたいと望んでいた事だし
いつ そうなってもおかしくは無いとは
思っては居たには 居たんだが
「次の土曜に、一緒に病院に。
いや、その前にドラッグストアか?
とりあえず、ググるか…」
スゥっと呼吸を整えると
落ち付かないで居た心が
一瞬で落ち着いて来て
インターネットで情報を集めると
スマートフォンの画面を閉じて
「とりあえず、本屋だな」
通りにある 紀伊国屋書店に入った
めぼしい本を数冊レジへ運んで
ニコニコと笑顔の店員さんに
おめでたですか?と聞かれてしまって
どうにも むずがゆい様な
そんな感じを感じながらも
もしそうなら ささやかなお祝いでも
した方がいいんだろうと
駅前のケーキ屋で
オレンジとレモンの小さいホールの
ヨーグルトタルト買った
アパートに戻ると
普通にキッチンにみくりが立って居て
「杏寿郎、今日は早かったね。お帰り」
「ただいま。体調はどうだ?」
「うーん、別に、普通だけど?
あんまりいい事もないけど、
そう言う時期だから、仕方ないよね?」
そういう時期… つわりの事か?
早い人なら 妊娠4週ごろからと
さっき立ち読みした本にあったが…
「まだ、食欲はないままか?
これ、レモンやら、
グレープフルーツやら
ゼリーとか買って来たんだが、
食べられそうか?
一度に食べるのが難しいなら、
分割食にしてもいいらしいぞ?」
「レモンは嬉しいけど、いいの?
こんなに沢山」
杏寿郎が差し出して来た
スーパーの袋をみくりが
受け取った
「後、タルトも買って来たんだ。
食べやすいかと思って、
さっぱりしてそうな味のを」