第61章 呼びたい男と呼ばない女 お相手:宇髄天元 現パロ
「ずっと、あったのに全然
見えて無くて、気付いてもなかったんだなって。
だってさ、この街が発展してここまでの
夜景になるさ、ずー――ッと前から
星空はあった訳じゃん?そう思ったらさ。
上、観んのもいいよなって思ったんだわ」
そう話しながら 宇髄も
星の無い 空を見上げて
懐かしむ様にして目を細める
「峠、二輪で責めてたバイク仲間にさ。
星、好きな奴が居たんだ。そいつがさ
夏休みに突然、星見に行こうって
言って来てさ。見に行ったんだわ。
県内で有名な雲海が見える、城跡にな。
何が楽しくて、野郎2人でって
俺も、思ったんだけどさ?」
そう言いながら
宇髄が自分のスマートフォンの
待ち受け画面を見せて来て
今のスマートフォンのカメラの画質とは
明らかに違うその画質の画像は
きっと その時に撮った 星空で
「憶えてるつもりで、忘れてねぇつもりで。
アイツの事、段々と忘れてたんだなって。
この画像の事も、すっかり忘れてたんだ。
スマートフォンの機種変更してる内にさ」
「天元さん」
「?」
「そこ、県内で雲海で有名な石垣の所。
県内で有数の、星空の聖地ですよ」
「あっこの星空は、綺麗だったって
記憶にあっし、この辺りじゃ
観れない星座も見えたりしてたしな」
スッとみくりが
展望デッキの手すりを
自分の両手で握ると
「夏になったら、行きませんか?
その、星空の聖地の城跡に」
次の休みに じゃなくて
夏になったらとみくりが言って来て
「星空なんて興味ねぇしって、
アイツに言ったんだわ俺さ。
いいから黙って来いって言われて、
いざ着いたらあまりに凄すぎて、
写真撮るのも忘れて眺めちまってて」
「きっと、そのお友達の人は
天元さんに見せたかったんでしょうね。
そこから見える、星空を」
「いいヤツ…だったんだ、ホントに。
いい奴過ぎる位に、いいヤツでさ」
「それで、バイクに
乗るのは止めちゃった?」
「え?なんで、知ってる…の?」
「天元さんが話してたんですよ、
前に、夜景見に行った時に、
駐車場でバイクの集団が居た時に
俺はもう卒業したんだって」
こっちがいつ言ったのか 記憶に無い話を
みくりは憶えて居てくれていて
「ちょっと、残念だなって思ったから。
天元さんがバイク乗る人だったら…」