第61章 呼びたい男と呼ばない女 お相手:宇髄天元 現パロ
まだ 今は夕暮れ時だから
日が西に偏りかけて
空が赤くなって来ている
今は日も長くなって来て
日が沈むのも19時位だけど…
まだ 1時間ほど 時間に余裕があった
日高山展望台について
車を降りると
階段を上って 展望台のある
デッキの方へ移動する
夜景で有名なスポットだから
土曜日とは言えど 閑散としていて
眼下には 自分達が住んでいる
街が広がっていて
自分の家がここから確認出来る訳ではないが
所々にあるランドマーク的な建物から
どこが どの辺りなのかは
自分の街なのだから
何となくには分かる
自分の家の場所と それから
宇髄さんのマンションのある辺り
あの辺りは この街でも
有数の住宅地だ
それから…さっき アンブレラアーチを見た
臨海地区の商業エリアも見える
「今なら、普通に景色見れっし。
夜景ばっかじゃなくて、明るい時間も
夜とはまた、別の顔…ってね」
そう言って宇髄がこちらを見ていて
夜景が好きだと言っていたのに
どうして 昼の 明るい時間の景色を
観たいなんて言うのかなとか
「夜の顔しか、知らなかったんだわ…
今まで、ずっと。夜にしか見た事なかった。
夜の顔しか知らずに、知ったつもりに
なってたんだわ。俺」
「夜景には、ない良さがありますか?」
じっとこっちを見てるから
違和感は感じて居た
夜の夜景じゃなくて
昼の景色を言ってるのに
どうにも 彼の視線は
眼下に広がる景色ではなくて
こちらに向けられて居たから
「それで、見てみてくんね?」
そう宇髄がみくりの胸の
テレイドスコープのペンダントを指差して来て
それを通して その同じ景色を見ると
自分達の住んでいる街と
上の空と 奥の海が
入り乱れた 緻密な柄になって居る
「同じ景色とは思えないぐらいですね。
天元さんも、これ、見て下さい」
「だってさ、夜は、そんな顔
しねぇじゃん?みくり。
いっつもさ、思いつめたようなさ、
そんな顔してたから」
「そっ、それは…その…ッ、
自分も天元さんにとって、
大勢の中のひとりなんだろうなって
そんな事ばっかり考えてたし。
深みに嵌る前に、抜け出さないとって
そんな事ばっかり思ってたので」
みくりの言葉に
宇髄が眉を顰めつつ肩をすくめると