第61章 呼びたい男と呼ばない女 お相手:宇髄天元 現パロ
「見えませんし、見た事ないです。
でも、見たくもありません」
「大事な人とかでも?」
「49日以内なら」
そこで会話が途切れて
しばらく無言のままで
車は山の中の曲がりくねった
上り坂を登って行く
「日高山、来るのって。
峠…好きなのもあるとか」
この山は峠責めの走り屋の聖地でもあるし
宇髄さん運転上手いし
夜景の為とは言えど
好きじゃなかったら夜の山道なんて
そんなに走りたがらないだろうし
「わかっちゃった?そ、
俺、峠責めるの結構好きなんだわ。
夜もいいけど、昼も良いし。
二輪の免許、取り立ての頃にさ
何人かでここ良く来てたんだわ。
男ばっかで、バカばっかしてた」
運転する彼の横顔に影が落ちて
幽霊とか 見たいかとかって
聞いて来た理由とか
もしかしたら 彼の
大事な友人の一人が
この山に眠ってるのかな…とか
そんな事を思ってしまって
夜景は ただのついでで
本当は
彼が その人を忘れない様に来てるとか?
なんて そんな事を勝手に考えていた
「ん?俺が男前過ぎて見惚れてた感じ?」
「見惚れてません」
「えぇ~?見惚れてくれてもいいくね?
こんなに男前なんだからさ。
みくりの彼氏」
「男前な人は、自分で自分を
男前とか言いませんから」
「ちぇ。クールなの変わんないし。
はい、お姫様。着きましたよ。目的地」
目的地の駐車場に着いたらしく
車を停めると
駐車場の看板に書かれた居たのは
日高山万華鏡ミュージアムの文字
万華鏡の博物館らしい
今は土曜日の昼間 夕方前ではあるが
駐車場に車が一台もないのは
どうなんだろうか?
「俺さ、ここで俺以外の
客がいんの見た事ねぇんだわ」
そう何度もここを訪れている
宇髄の言葉に不安を煽られるのだが
「経営…大丈夫なんですかね?」
「大丈夫なんじゃね?展示されてる
万華鏡は寄贈品らしいし、建物は
前からあった、オルゴールの
ミュージアムの流用だからさ」
そう言いながら 誰一人
人のいない 駐車場から
その建物の方へ歩いてく宇髄を
慌ててみくりが追いかける
入口で 入館料の500円を支払って
そのまま その奥へと進むと
入口の すぐ奥が
薄暗い 円形のエリアになって居て
そのエリアに足を踏み入れると