第61章 呼びたい男と呼ばない女 お相手:宇髄天元 現パロ
その赤い目が 細められて
笑顔に変わって行く
その 瞬間を見ていて
「あーでも、やっぱ、
俺の目の前のみくりが、
一番可愛いわ。画像よりも、
本物がいいわな。そりゃそーだ」
うんうんと宇髄が何かに
納得した様にそう言って頷いて
しばらく 話をしていると
注文した物が運ばれて来て
三国屋の名物の温かい
チーズケーキは相変わらずの
チーズの濃厚な香りと
ちょっとした塩気のある
間違いのない 美味しさで
「チーズケーキ美味しい?」
「美味しいです」
「チーズフォンデュ、美味いよ?
食べない?ちょっと小腹が
空いてて物足りない程度だからさ。
こんなに、欲しいって訳でもねぇし」
きっと この体格だから
食べるのは沢山食べるだろうと思うんだけど
こっちに食べさせたいのか
そう言って来るから
「じゃあ、少し…
お言葉に甘えて、味見してみても?」
「何がいい?バケットでいい?」
トロトロに蕩けた
チーズをこれ以上ない位に
纏ったバケットは 絶対に
間違いない美味しさだろうけど
「はい。バケット、美味しそうですね」
宇髄がフォークにバケットを刺すと
溶けたチーズをこれでもかと
いうくらいにバケットに纏わせて
ニコニコと満面の笑みで
こちらにそれを向けて来る
これは 食べさせてくれると言う事なのか
「俺さ、ちょっとこう言うの
憧れたりしてたりしてさ、嫌?
口、あーんてしてくんね?」
そうやって 耳元で
そのいいお声で囁くのは
卑怯だと感じて仕方がないのだが
彼に日頃 色々と命じられている
私は どうにも
彼がして来る お願いと言う命令を
断われないで居て
促されるままに あーんと
控え目に口を開くと
「はい、どーぞ」
宇髄に口の中に
チーズまみれのバケットを入れられて
モグモグとそれを咀嚼すれば
「んんっ!!…ッ、天元さんッ、
これっ、すっごい、美味しいですね!」
「でしょー?めっちゃ旨くね?」
「えと、…お返しとか…しますか?」
そう みくりが宇髄に対して
尋ねると ふっと宇髄が笑顔になって
こっちがそうしやすい様にして
口の高さを合わせてくれるから
食べやすい大きさにした
チーズケーキを
あーんとしてくれている
彼の口の中に入れる
「やっぱ。裏切らねぇ味だわ。
三国屋のチーズケーキ」