第61章 呼びたい男と呼ばない女 お相手:宇髄天元 現パロ
朝になったらもう一回…
と そんな事を考えていたら
あ くそっ やられた
自分の腕の中にあったはずの
その温もりも重みも無くて
みくりの姿は無かった
毎回毎回 これだ
いつの間にか 帰ってやがるし
それを次に会った時に
それとなく聞けば
『泊まれって言われてないから』
と あの塩対応の方で言われるんだよ
どーせ そうだよ
ああっ くそっ
可愛さ余って憎さ百倍とはこの事か
人が出して 満足してる間に
帰るとか酷くね?
何度 抱こうが
背中に跡を残そうが
あまつさえ 中に出そうが…だ
全然 俺の物になりやしねぇ
こっちが これだけの
執着を見せてるのにだ
まるでこっちのそんなモンは
あってない様な物にして来やがる
はぁ…と宇髄が深いため息を付いて
電子タバコを取り出すと
ふぅーーっと紫煙を吐き出した
こんな時でも タバコは美味いのね
裏切らねぇわ ホント
「だったら、何で来るんだよ…ッ」
グシャグシャと自分の手で
自分の髪を搔き乱すと
ふと棚のガラス戸に
乱れた髪の自分が映って
「ん?乱れ髪の俺、男前じゃね?
って、何言ってんだよ。俺は。
バカかよ。ああ、もうっ!はぁー…
シャワー、浴びよ…」
彼の住んでいる
マンションを抜け出す様にして出ると
身体…だるい…
まだ 始発が動き出す時間じゃない
「帰らないと…ッ」
少し ふらつく足元で
よろめきながら歩いていると
『あれ?もしかして、みくりちゃん?』
知った声が後ろから呼び止めて来て
振り返ると 知った顔があった
「博之?どうして?こんな時間に
外、歩いてるの?」
「友達ん家で、飲んでて。
アイツ家狭いから、俺ん家
ここから歩いて近いし、
帰えって寝よっかなって。で?
そっちは何でこんな時間に歩いてんの?」
まだ 始発も動いてない時間に
女がふらふらしてたら不審でしかないか
「あー、もしかして。まだ続いてる?」
その博之の問いかけに頷いた
「じゃあさ、困ってるなら俺の家来る?」
そうだ あの人と私は
付き合ってるんじゃないんだから
別にこの人の家に行ってもいいし
この人と…そうしてもいいはずだ
その 博之の問いかけに
みくりは首を縦に振った