第60章 2人のハネムーンは… 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「強ち、分からない事も…ないからな」
そう言って みくりの身体に残る
自分が付けた 赤い跡を指先でなぞって行く
その一つ 一つに指を添えて
「流石に、3000個も…
俺の跡を残そうとは思わないが…」
「そんな事、しなくても…もう、
夫婦になってるんだから…わざわざ」
自分の物だと言う印を 残さなくても
いいんじゃないのかな?
「もし、俺と君が、
そのエビだったら、こんな事を
しようとも思わないだろうがな」
その小さな世界で
幼い頃から 番う相手と
共に生きるしかないのなら
そんな事も必要がないと言われて
おかしいと思ってた
入籍して ちゃんと夫婦になったのに
何が彼をそう突き動かすのかと
消えてしまう訳でも
変えて上書きできる訳でもない
過去を…
そうしてしまいたいと言う 気持ちの
表れ でしかなくて…ッ
「俺が…、カタツムリで無くて
良かった…と、思ってたんじゃないのか?」
そう杏寿郎が耳元で囁いて来て
ゾクゾクと背筋が震えるのが分かる
きっと 彼がカタツムリだったら
チクチクだなんて 可愛らしい
刺し方なんてしないだろうし
深く 深く 抉る様にして
その存在を自分の全身に刻み込まれて
しまうんじゃないかって
そんな事を つい考えてしまって居て…
チリッとした痛みが
自分の首筋に走って
「…ーーっ」
その痛みに小さく声を漏らすと
「痛くして、しまったか?」
そう申し訳なさそうに
杏寿郎が謝って来ると
その色濃く 白い肌に浮かんだ跡に
口付けを落とされて
痛みへのお詫びをされてしまう
そうされる度に
私の全てが 彼の物になって行く様な
そんな錯覚を 二人で感じて居て…
「俺にも、刺して…くれないか?」
「んもぅ。カタツムリじゃないから、
刺せないよ?でも…、ちょっと…
カタツムリの気持ちも分かりそうかも…ね」
自分が付けたのと同じ場所に
杏寿郎が跡を付けて欲しいと言って来て
促されるままにして
ちゅう…と その首筋に吸い付きながら
軽く自分の歯を立てると
ビクッと彼が驚いたのか
少し身体を跳ねさせて
「カタツムリの恋の矢程でもないが、
君にそうされるのは、まんざらでもないな」
「エビになるの?それともカタツムリ?」
どっちがいい?冗談交じりにそう杏寿郎に尋ねた