第60章 2人のハネムーンは… 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「発光する事で、エサになる
魚をおびき寄せるとか。
外敵となる大きな魚から、
身を守ってるとかって
言われてるみたいだけどね」
やる?と木片を
こちらにみくりが差し出して来て
杏寿郎がそれを受け取ると
「刺激を受けて発光するんだったら…」
杏寿郎が その木片で
海面に 何かを書いていて
杏寿郎が 海面を木片でなぞった
その跡に 光の文字が浮かぶ
ある 文字をひとしきり 書き終えると
杏寿郎がこちらを振り返って
「どうだった?読めたか?みくり」
そう興奮気味にこちらに尋ねて来て
夜光虫の発光する 性質を利用して
海面に文字を書くとか
杏寿郎も意外と
ロマンチストな所あるよなぁっと
一瞬で 消えて行ってしまった
海の上の I LOVE YOU を
自分の記憶の中で 思い返して
ふふふとみくりが笑い出してしまって
「何も笑う事はないだろう?
みくり、酷くないか?」
貸してと杏寿郎の方に
みくりが手の平を向けて合図をすると
杏寿郎が持っていた木片を
こちらに向けて手渡してくれるから
みくりがそれを
その静かな 海面に 走らせて
Me too
と一瞬しか読めない
彼への お返事を返した
「みくり!俺もそう思ってる」
「先にしたの、杏寿郎の方でしょ?
ねぇ、だったらさ。こうしたら
どうかなぁ?」
そう言って 波打ち際の
波にさらわれるかさらわれないかの
ギリギリの辺りに
みくりがその木片で
ハート形の溝を掘って行くと
そのハート型の溝に
僅かに海水が溜まって行って
その溝の中の海水を
パシャパシャと手の平で叩くと
青いぼんやりとした 光のハートが
夜の闇の中に浮かぶ
灯りも無い 真っ暗な 砂浜で
ここまで 遊べるのも
俺とみくりだからなのかも知れないな
「見て見て、杏寿郎。ハートだよ?」
「ああ。見てる見てる。ハートだな」
「ねぇ、杏寿郎」
「ん?何だ?」
「いいね。夜光虫。
初めて見たけど、見に来て良かった」
「宇梶さん、様様だな。
あのお店もいい感じだし、ここは
穴場の中の穴場みたいだしな」
砂浜に並んで腰を降ろして
青く光る海を眺める
「良かったの?」