第60章 2人のハネムーンは… 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
夜光虫が見れると言う
地元の人しか泳がない砂浜は
その紹介された 島花から
車で10分もしない所に
先程通った シャッター街を
抜けた先にその砂浜はあった
「夜光虫は、赤潮って
呼ばれている物みたいだね。
赤潮はあんまりいい物って
イメージはないけど、昼間は」
「本当に誰も居ないんだな、
砂浜はおろか、周囲の建物
一帯にも灯りと言う物がないな」
誰も寄り付かない場所
そんな表現が似合う
古びて朽ち果てた 舟屋が並び
かつては小さいながらに
この辺りも活気のある漁港だったのだろう
放置されたままの小さな漁船が
幾つか並んでいて
宇梶メモには この辺りには
昼も夜も誰も来ないから
この漁港の辺りは
道が整備されているので
適当に倉庫の辺りにでも
車を置いて置けばいいと
そう書かれていたので
(駐車違反を取り締まりに来る
警察も来ないので)
とメモには走り書きが加えられていて
あまりにも人気が無さ過ぎて
「夜光虫鑑賞と言うよりも、
肝試しも出来そうな雰囲気だな」
そのまま 宇梶メモに従って
車から降りて
その 漁港にポツンとある
点滅をしている街灯の明かりを頼りに
進むと 小さな砂浜に出る
押し寄せる 波が ほのかな
青い光で 光っているのが
こちら側からでも 見えていて
「海が…、光ってる…」
「波が立ってる所が、青く光ってる…ね」
その波の形を 形作る様にして
ばんやりとした青い光が浮かぶ
ぼんやりとした 形が
打ち寄せる波と共に
押し寄せては 消えて
また 押し寄せては 消えて行く
「中々に…、幻想的ではあるが。
儚くて、物悲しい光景でもあるな…」
その 淡い光が揺らぐ様は
見ていると心が感傷的になってしまう程に
淡い 微かな ひかり でしかなくて
しんみりしてしまいそうだと
杏寿郎が感じていると
みくりが砂浜に落ちていた
細長い木片を拾い上げて
波打ち際に向かうと
「杏寿郎、見ててくれる?」
そう言って 水面に突き立てた木片で
水面を波立てながら 砂浜を移動すると
みくりが 立てた
小さな波が 青くぼんやりと光るのが
杏寿郎の目にも見て取れて
「人為的に光らせる事が、
出来る物なのか?夜光虫は」