第60章 2人のハネムーンは… 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
宇梶さんのくれたメモ
みくり曰く 宇梶メモ
を頼りにその宇梶さんの同級生の
店を探して 細い道に入った
「ちょっとした、探検みたいだな」
「でも、田舎だと、隣の家が
遠いから、路地裏の探検も出来ないよ?
だって、探検する路地裏が無いもん。
ああ、そう言えば、
来月は蛍の季節だね。もうすぐ
夏だなぁって思うよね?蛍見ると」
杏寿郎からの返事がなくて
「もしかして、蛍、見た事ない?
杏寿郎のお家の辺りは
あんまり、用水路とか浅い川とか
なさそうな感じだもんね」
「見に行くのもいいかもな」
「見に行くってどこに?
どこでもあっちなら、見れるから。
どこかに、わざわざ蛍を、
見に行くってした事なかったからさ」
蛍が見られるのは
綺麗な清流が条件だが
「持留のおじちゃんの所とか、
結構飛んでるからさ。蛍。
時期になったら、多い日とか
電話掛けてくれてさ、おじいちゃんと
一緒に観に行ったりしてたけどね。
あ、何?その顔、どうせ、田舎の子だよ。
家の裏の山で、鹿鳴いてるしね」
細い道の突き当りに
車が3台ほど駐車できる
スペースがあって
手作りの看板が立てられていた
古民家レストラン 島花
「合ってる…んだよな?」
そう杏寿郎が漏らす様に言って
みくりがメモを確認して
「合ってるけど?島花」
その駐車場に面している
古民家を見上げるも
営業してるのかと疑いたくなるくらいに
人気を感じないのだが
スゥっと隣のみくりが
意識を集中させて呼吸を整えていて
無意識に 全集中の呼吸を
また使っている様だった
そうか 全集中の呼吸を使えば
人の気配を探り取る事も出来るのか
呼吸を極めれば 出来る事が増える
自分もそれを真似てみようとして
スゥっと息を吸うと
ああ そうか
意識せずとも 身体が憶えて居るのか
同じ呼吸が自分にも出来ているのが分かって
意識を集中させると
ぼんやりとした 建物の内部構造と
人 と思しき
灯りの様な影が脳裏に浮かんで来て
「大丈夫、みたい。
人は居る感じがするから」
「3人か?」
そう杏寿郎が言うと
キョトンとみくりが
目を丸くさせて居て
「え?どうして、中に居る人が。
3人だって分かったの?」
そう驚いた様子で問い返して来て