第60章 2人のハネムーンは… 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「最初に会った時の事とか、
って、憶えてるか?」
「大学に入ってすぐの、
4月にあった、新入生の歓迎
バーベキューの時の事?」
そう 大学に入学してすぐに
あった バーベキューの時に
杏寿郎とは初めて出会ったのだが
その当時の話を杏寿郎がして来て
「あの時に、君がした話が…な。
忘れられなくて…だな。
いや、俺に対して
言った言葉じゃないんだが。
俺が炭を起こしてる時に、
下拵えをしながら交わしてる会話を
たまたま、小耳に挟んでしまったんだ。
君が、別の新入生の女性に対して
言っていたんだが…」
そんな数年も前の人と
私が交わしていた会話なんて
そんな風に記憶に残るのだろうか?
「え?どの話の事?
全然記憶にないんだけど?」
その当時の会話なんて
私はちっとも憶えてないんだけども
ハンドルを握りながら
その当時を思い起こすも
どんな会話だったのかの
想像すらが出来ずに居て
「その、ホタテの目の話をしてただろう?」
「ああ。ホタテって目が沢山
あるんだよ?って下拵えしながら
ここがね、目なんだよってした話の事?
そうなんだよ、ホタテね。
ホタテの目は、貝ひもの所に
目があるんだけどね?
その目の数がね、80~200個あってね?」
みくりがホタテの目の話をし始めて
「そうだ。その話。
その話を聞いて、俺はしばらく
ホタテが食べられなくなったんだ。
君のその話が、衝撃的過ぎてな…」
「ああ。その話?
私も知った時は驚いたよ?
しまじろうあるでしょ?
こどもちゃれんじ。
あれのおまけの、冊子に
載ってたんだよ、ホタテの目の話。
トンボの目の話と
一緒に載ってたんだけどね?」
はぁーっと杏寿郎がため息を付くと
「文句の一言でも、言ってやろうと
思ってたんだがな。その…時は、
あんな話をして置いて、普通に
食べてただろう?あの時、ホタテ」
「ホタテ目ってさ、色は判別
出来ないんだけどね。
一つの目で2つの映像を
見れるって知ってる?凄くない?
頭が混乱しちゃったりしないのかな?
目が80なら、160の画像だよ?」
「で、だ。君的には、その心は?」
「ホタテは美味しい」
ふっと杏寿郎が口の端を曲げると
小さくため息を漏らして
「美味そうに食べるだろう?君は」
「美味しかったらね」
「だからだが?」
「だから?」