第59章 2人のハネムーンは… 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
プールの底に背中を付けて
底から 上を見上げる
小さな限られた世界を
青が満たしていて
水を通して 太陽が見える
トントンと隣から
杏寿郎がみくりの肩を叩いて来て
そちらに視線を向ければ
水の中に沈んでも
燃え尽きる事のない
太陽の様な 杏寿郎の瞳が見えて
その瞳に 自分の顔が映るのが見えた
これからも ずっと…
貴方の隣で… 色々な物を見たり
感じたりしたいなぁって
その太陽の様な 瞳の中に
私の顔が映る位の 近くで…ずっと
ぐっと 喉の辺りが
詰まる様な感覚を憶えて
そろそろ 水面に上がって息継ぎしたい
水中では話は出来ないから
杏寿郎に対して みくりが
水面を指差して 息が吸いたいと合図をすると
グイっと手首を杏寿郎が
掴んで来て そのまま 彼の身体の方へ
引き寄せられてしまって
その腕の中に 身体を収められてしまう
ギュッと腕の中に包み込まれて
抱きしめられてしまって
顎に手を添えられて
そのまま 水の中で唇を重ねた
杏寿郎の頬に 自分の手を添えて
そのまま 彼の唇を挟む様にして
口付けを 繰り返す
口付けを交わしながら
ゆっくりと 水面に浮上して
水面と杏寿郎の腕に身体を預けながら
そのまま 口付けを貪る
「んっ…ん、杏寿郎…っ、んっ」
「ん、ふ、…、みくり、
もう、一回…、いいか?」
杏寿郎が その言葉を発する
僅かの時間に呼吸を整えて
彼の顔がまた近付いて
再び 重ねられる キスの予感に
瞼を閉じて 彼の肩に 腕を回した
そのまま 二人で
キスを交わしたままで
青い世界に 沈んで行く
息は… 出来る訳がないのだから
こんな事をしても苦しいだけなのに
私も彼も
この不自由な 口付けに溺れていて
息の続くまで
水の中で交わす 口付けをしては
水面まで浮かび上がるのを
何度か繰り返していて
流石に それが…5度目になる頃には
自分の息がキスの所為の方じゃない方で
上がっているのを感じていて
「そろそろ、…この遊びも
止した方が良さそうだな。みくり」
「初めてかも…」
「初めて?何の話だ?」
「水の中でキスしたのは、
初めてだって…言ったんだよ」