第3章 訪問看護 お相手:煉獄杏寿郎
「それにしても、杏寿郎さんが
お怪我をされるなんて珍しいですね。
よっぽど強い鬼だったんですか?」
「いや、鬼は大したことは
なかったのだが……」
どうせ この人の事だ
新人の隊士とか
一般人を庇っての事だろう
「あまり、ご無理をなさいませんよう」
みくりに静かに言われて
「それは、わかっては居るのだが…、
すまない。君に心配を掛けてしまったな」
「足は、どうですか?お医者様には
診てもらってるんですか?」
「その日に診てもらったんだが、
思うように腫れが引かなくてな」
「そうでしたか、見せて頂いても?」
杏寿郎の右の足首には氷嚢が
当ててあって直接当たらないように
手拭いが巻かれていた
その手拭いの上からでも
患部が腫れているのがわかる
「しっかり、冷やしてもらってるから
その内引いては来ると思いますけども……」
「しかし、あまり仕事に穴を空けるのは……」
「そうは言ってもこの足じゃ、
当分無理ですよ。呼んで
もらっていながら、申し訳ないですけど
あまりお役には立てないかもしれません」
すいませんとみくりが家の者を呼んで
ある物を用意するように依頼した
それを待っている間にカバンを徐に開くと
中から必要な物を取り出していく
小さなすり鉢に白い粉を入れて
その中に匂いのする液体を入れ
しばらくして戻ってきた家の者から
アロエを受け取るとナイフで皮を剥いて
その中にぶつ切りにしていれた
「何をしているんだ?」
「何って、湿布を作ってるんですけど?
民間療法ですよ。気休めです。
冷やすだけよりも、
効果あると思いますよ」
そう言って
小さなすり鉢で煉り合せた物を
油紙の上にガーゼを広げた所に
へらのような物で塗り広げていく
「すいません、こちらで
よろしかったでしょうか?」
「あ、すいませんっ。ありがとうございます」
家の者が布団やら
座布団やらを運んできて
みくりがそれを受け取ると
腫れている方の足が高くなるようにする
土台を布団と座布団を畳んで整えていく
「これぐらいで、どうですかね?
置いてもらっても?」
みくりが整えた土台の上に足を置くように
杏寿郎に促した