第3章 訪問看護 お相手:煉獄杏寿郎
「みくりさん、申し訳ないのですが、
お使いをお願いしてもいいですか?」
しのぶに声をかけられて
みくりが立ち止まった
今は重症の怪我人もおらず
蝶屋敷での仕事は比較的落ち着いていた
鬼殺の仕事も今日はないし
お願いされるより他にないのだが
「いいけど、薬の配達とか?」
依頼されてしのぶの薬を置いている所に
置き薬の交換でもしに行くのかと思って
みくりが訪ねた
「いいえ、実は……訪問看護を
お願いしたいと思いまして」
「訪問…看護?」
しのぶの話のよると
藤の花の家で休息中の足首の捻挫をした
隊士の足の腫れが酷いらしく
出張して湿布とテーピングを
して来て欲しいとの事だった
それがすんだら
そのまま自由にしてもらっていいと
しのぶに言われたので
しのぶから往診用カバンを預かり
用意してもらった馬車に乗り込んだ
着いたのは
定期的にしのぶの薬を届けている
藤の花の家のひとつだった
「すいませーん、ごめん下さい。
蝶屋敷の胡蝶しのぶの使いで参りました」
門の前で声をかけると中から家の者が
出て来てみくりに頭を下げた
「ようこそ、お越しくださいました……。
どうぞ、お上がり下さい。鬼狩り様」
座布団とお茶を勧められてしまったが
確かに私は鬼狩りではあるが
今日は休息にここに来たわけではないので
その足首を捻挫した隊士のいる部屋へ
案内してもらった
部屋の前から
中にいる隊士に家の者が声を掛ける
「鬼狩り様、蝶屋敷の使いの方が
お越しです」
「そうか!すまないな、
入って貰って構わないだろうか?」
声を聞いて みくりはハッとした
この声は 自分の恋人である
炎柱の 煉獄 杏寿郎の物だ
ガラッと障子を開くと
布団の上には寝間着姿の杏寿郎がいて
みくりの顔を見ると
その顔がパッと明るくなった
「誰かと思ったら、君か!すまないな!
柱として不甲斐ない姿を
見せてしまって、申し訳ないな!
君にまで迷惑をかけてしまって……
恥ずかしい限りだ!」
そう申し訳なさそうに 言いながらも
嬉しそうな顔をしていて
「だが、これも怪我の功名だな!
こうして、君に会えたのだからな」
と言って ははははははと笑った