第58章 今年の彼の誕生日は…後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
その七輪と一緒に
海鮮の盛り合わせも届いて
換気扇になっている
テーブルの中央の部分に七輪を置いた
杏寿郎がポケットのスマホを確認すると
「みくり。
ちょっと、電話して来るけどいいか?」
「うん、いいよ、これ焼いて待ってるから
電話して来て」
仕事絡みの連絡かなぁっと
思いながら電話をしに行った
杏寿郎の帰りを待ちつつ
美味しそうな大きなサザエに
活きのいい透き通った車エビ
小さめの鮑も島の海で獲れるらしい
小さめのサイズだが
アオリイカの一夜干しと
恐らくにメインであろう
鯛の一夜干しはこれしか乗らない大きさだ
とりあえず
鯛 邪魔だから焼こう
うん 邪魔だから焼こう 鯛
そう思って 鯛を七輪の網の上に乗せる
それにしても上の換気扇優秀だな
煙が全部吸い込まれてる
これだけ小さい個室なのに
全然煙がこっちにも来ないし
室内の空気もとてもここで
炭を使ってるとは思えない
人の気配がして
杏寿郎かと思ったけど
地酒の飲み比べセットを
テーブルに届けてくれた様だった
電話を終えて戻って来たのは良いが
「え?こっちなの?」
「ダメなのか?俺はこっちがいい」
「じゃあ、あっちに…」
向かい側の席に移動しようかと
そう言って立ち上がろうとすると
「どうして、そうなる。
隣同士がいいんだが?」
いや でも 二人で
横に並んで座ると
横幅がそんなに無いから
ギュウギュウになるのに
「狭いよ?ここ」
「いいだろう?狭くて」
ぴったりと身体を引っ付けられてしまって
「それ以上は、そっちに行けないぞ?」
その杏寿郎の言葉通りに
私の右側はすぐ水槽があって
スルッと杏寿郎が手を伸ばして
みくりの左手の薬指の
あのステンレスの指輪を撫でて来て
「あのさぁ、杏寿郎」
「ん?何だ?みくり」
「今日は、杏寿郎の誕生日だよね?」
「ん?まぁ、そうだな。
それも…後、数時間だけだがな」
「おかしくないかな?」
「おかしい?何がおかしい?」
ジッと杏寿郎の方を
みくりが見つめて来て
「普通さ、逆じゃないかな?
杏寿郎の誕生日なのに、こっちが
サービスされるのっておかしくない?」
「そうか?俺は、今日一日、
君と色んな経験が出来て楽しかったぞ?」
今日一日の事を 朝から振り返ってみると