第57章 今年の彼の誕生日は…中編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「あっ、あれっ、あの岩の
真ん中のくぼんでる所、見てッ」
「はい、あちらの大岩なのですが、
別名をハート岩と言いましてですね、
あの様に、自然に波に削られた岩肌が
ハートに見える岩になっております」
「神話の時代から、ハートは
特別な形だったのかもな?
神話の神様も。中々に
ロマンチストだった様だな」
夕陽に赤く照らされて
そのハートの窪みが赤く染まって見える
そっと杏寿郎の身体に
自分の身体を預けると
そのまま 沈む夕陽を二人で眺める
「良いのか?撮られてるぞ?」
そうか そうだった
こっちのインストラクターの人も
カメラ持ってたっ
それも道中で何枚も写真撮ってた
「記念のお写真、沢山
こちらのカメラの方で
撮らせて頂いてますので~」
あ もうその笑顔が
撮りましたって言ってるし
「撮られたな」
「うっ、だってぇ、だってぇ
こんな時に、くっつかないとか
損しちゃうよっ!損するのッ」
片手を身体に杏寿郎が回して来て
「夫婦だからな、
気にする事もないだろう?」
「えっと、このままだと
真っ暗になってしまうので。
早めにライト、点灯しちゃいましょうか。
右手の方、中央にスイッチございますね?」
右手と言われてクリアカヤックの右手を見ると
確かに配線の様な物とスイッチがある
この前のクリアカヤックにな無かったけど
「スイッチ、入れて頂いていいですか?」
「これ、ですか?」
促されてスイッチを入れると
ぼやっとした光で
クリアカヤックの縁が青く光る
「ええ?凄いっ、光るんですか?」
「隣のボタンで、青、緑、赤、オレンジ
の切り替えも、出来ますので。
えっと、私は緑ですかね」
そう言ってインストラクターの人の
カヤックが緑の光に包まれる
「こちらの光るカヤックでの、
ナイトツアーも行っておりまして
そちらも、サンセット同様に
カップルやご夫婦に
人気となっておりますので。
お時間が、余裕ありましたら、
どうぞ。空きがございましたら、
当日ご予約もお受けしておりますので」
すっかり日が落ちてしまって
真っ暗になった海に
ぼんやりと 自分達のカヤックの光が浮かんでいて
「夜光虫…みたい」
「夜光虫?何だそれは」
「夜光虫は、春から夏に
各地で見られる、光るプランクトンだよ
良く海ほたると混同されるけど…」