第57章 今年の彼の誕生日は…中編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「海ほたるは海底に住んでいる
甲殻類の一種でエビやカニの仲間です」
そうみくりの言葉に
インストラクターの人が言って来て
「水無瀬島は
夜光虫のスポットとしては
知られてない所で、
地元の人間しか行かない様な、
海の家もない砂浜が、
南水無瀬にあるのですが。
島で唯一
夜光虫が見れるんです、恐らく
潮の流れの影響で、そこにしか
流れて来ないんだと思うのですが」
「いいんですか?そんな情報…」
「ああ、
いいんですいいんです。
南水無瀬の中でも
その海岸はリゾート開発とは
無縁の漁港の地域なので、
住民も今は、島の中でも都会な
本水に流れてますから…。
私も。村を出て…の一人なんで。
後継者の居ない、放置された漁船と
ボロボロの舟屋しか無い様な場所ですから」
そこまで 話を聞いて
3人で 思わず
しんみりとしてしまって居て
「す、すいませんっ、私の話を
してしまってましたっ!」
「賑やかになるかも知れませんよ?
場所、詳しくお伺いしてもいいですかね?」
「成瀬さんか?」
杏寿郎がみくりに
そう耳打ちをして来て
「そそ。夜光虫はネモフィラ畑よりも
春から夏の終わりまで見れるから、
長くお金になるからね。
寂れた漁村で、高齢化と過疎化が
進んでるんだったら
テコ入れもしやすいと思うの。
きっと、成瀬さんだったら
中条市を再建したみたいにして
その辺りも、水無瀬市長さんと
一緒に上手くしてくれるよ、きっと」
トンっと杏寿郎の身体に後頭部を預けて
下から杏寿郎の顔を下から見上げて来て
「ねぇ、もう、杏寿郎だからさ。
私が言う事なんて、知ってると思うけどさ」
「ああ、もう今日は飲んでるからな。
明日以降でいいなら、付き合うが?」
じぃーーーんっと
みくりが感動を噛みしめていて
「流石ッ、杏寿郎。私の
旦那さんなだけのことあるっ。
大好きッ、好きすぎるっ。」
そう言って抱きついて来て
「それは、君に
お褒めに預かり光栄にあるが…」
「南水無瀬の方に、丁度、
成瀬さんの手が既に入ってるからね、
宿泊プランに組み込めばすぐだよ。
送迎の車、出すだけでいいし
水無瀬島で、夜光虫のイメージが
全国に無いから、尚いいです。うん。
それに…」
「それに?」
「私、話でしか知らないから
夜光虫、見てみたいなぁって」