第56章 今年の彼の誕生日は… 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「そうだね、そんな、
子供預けて、デート行っちゃうほど
親の仲がいいのは良い事かもね?」
「なればいいさ、そんな夫婦に。
正解だとか、間違いだとか
まだ、夫婦になったばかりだしな。
これから、一緒に探して行けばいい」
「何それ?杏寿郎、ズルくない?
カッコイイ事言い過ぎじゃない?」
うーんと唸り声を杏寿郎が上げると
一旦視線を斜め上に逸らして
こちらへ再び向けて来ると
「惚れ直したか?」
「直した!」
「なっ、直したのか?
いつもだったら、
そんな事ないって否定するのに…。
今日はしないのか?」
「だって、杏寿郎…の事、
好きだなって思う事、
ばっかりだよ?さっきの事もだけど」
控え目に言っても
私の旦那さんは 素敵過ぎるし
好きだなって思うばっかりだなぁって
でも 今 好きって言うのは きっと
「今は、言わないでくれるか?」
そうだよね 杏寿郎の性格だから
それ 言っちゃったら
当然…
目的地の変更されちゃいそうだし…ね
「わっ、分かった。言わないっ」
そんな話をしながら
車を走らせている内に
目的地である
水無瀬島へと掛かる橋に差し掛かった
「何度渡っても、やっぱりいいな」
「そうだね、橋、テンション上がるね!」
「橋、渡った先で、休憩するか?」
「うん、する。ソフトクリーム食べたいなぁ」
「いいのか?麻理恵先輩とやらに
怒られるかも知れんぞ?
それとも、運動に付き合うか?」
橋を渡った先の
サービスエリアに立ち寄る事になって
そこでソフトクリームを
食べたいと言うと
そう杏寿郎に嫌味を言われてしまった
サービスエリアで
おトイレだけ済ませて
戻ろうとすると
「良いのか?」
「杏寿郎が、言ったんじゃん」
「だったら、罪悪感も半分こにするか?」
夫婦として苦労を
分かち合うとかならまだしも
最初に分かち合うのが
ソフトクリームって辺りも…
「半分こする?杏寿郎」
「ああ。なら、買って来る」
待っていてくれと言い残して
杏寿郎が戻って行って
海と橋が見える展望デッキに移動する
有料の望遠鏡が設置されていて
無料開放中と書いたラミネート加工された
紙がピーピーロープで
望遠鏡に括られていて
無料と聞くと覗いてみたい心理で
その望遠鏡を覗き込むと