第56章 今年の彼の誕生日は… 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
小一時間程で全てしてくれたので
その足で警察署へ向かった
各種手続きに必要な住民票の数とか
マイナンバーカードもその場で
変更の手続きご一緒にって
役所の職員さんの方から申し出があって
向こうもそれを仕事にしてるから
手慣れた物で その他にって
一覧にしたチェックリストまでくれた
平日の警察署はガラガラで
すぐに対応して貰えて
名義変更の手続きも
ICチップの書き換えと裏書も
その場で対応して貰えるから
後日に来る必要もないのは助かった
運転免許証は一番にして置かないと
身分証明書も兼ねてるもんね
「終わったのか?」
「ごめんね、お待たせ」
外で待っていた杏寿郎が
みくりにそう声を掛けて来て
「じゃあ、荷物を取りに
一旦、戻って出発するか!」
スッと杏寿郎が手をこちらに出して来て
警察署の入口から駐車場までなんて
知れている距離なのに
「お手をどうぞ、奥さん」
「…ん」
「恥ずかしがり屋さんだな、
俺の可愛い奥さんは」
みくりが無言のまま差し出した手を
ギュッと杏寿郎が握って
そのまま手を引いて歩き出した
その左腕の手首には
私が贈った ディーゼルの腕時計が見えて
「ねぇ、杏寿郎。
新婚旅行に、結婚指輪がさぁ。
間に合わなかったって、話してたでしょ?」
「ああ、言ったには言ったが。
それがどうかしたか?」
「ねぇ、あれじゃダメ?」
みくりがそう言って
杏寿郎が驚いた様な顔をする
「あれ…か、アレには苦い思い出しか無いがな」
私の中でも杏寿郎の中でも
あの一番最初のクリスマスは
あって無かった事になっていて
3回目のクリスマス…って
この前のクリスマスを言ってるけど
本当は もう一回 クリスマスを一緒に過ごしてる
幻の4回目のクリスマスが存在して居たのだが
21歳の春にネモフィラ畑で
杏寿郎に告白をされて
適当に流していた経緯があって
その後も 何度か告白をされて
逃げられないと覚悟を決めて
その告白を受け入れたのが…
その年のクリスマスで
誕生日がお互いに来てるから
クリスマスの頃は22だったんだけども
もうクリスマスまで数日しかないって
言う時期にそれをOKした物だから
クリスマスのデートとかの計画とか
プレゼントとかって付き合って数日だし