第56章 今年の彼の誕生日は… 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
ふああっ…と大きなあくびをしながら
ぼんやりとした顔をしつつ
杏寿郎が尋ねて来て
「お誕生日おめでとう!って
言いそびれてたんだよ?大変だよ。
これは、由々しき事態だよ!」
「俺も君も寝てたんだし、それに
今、一番に言ってくれたし、俺も
それを聞いたんだから、それでいいだろう?」
「ダメだよ。丁度0時ピッタリに
言いたかったんだもん、おめでとうって」
よしよしと杏寿郎が
それを気にして拗ねるみくりの
頭を撫でて来て
「なら、次の誕生日は
そうしてれればいい。そうだろう?
みくり、俺の可愛い奥さん」
日付が変わったからなのか
奥さんと杏寿郎が呼んで来て
「あのね?杏寿郎…っ、あのね
ちょ、っと、聞いてる?」
ふにふにとその手が
私の胸を揉んでるのは気のせいではなくて
「折角の記念すべき、一回目をだな…」
ベシッと自分の身体をまさぐっている
杏寿郎の頭を叩いてそれを止めさせると
「みくり、
何をするんだ?痛いだろう?」
「杏寿郎が、人の話を
全然聞かないのが悪いんでしょ?
これを…、渡したくてさ。用意してたの。
0時過ぎたら、これ、渡そうと思っててね」
どこかな?と言いながら
枕の下に自分の手を差し入れて
みくりがその辺りをまさぐると
「あ、あった。これこれ」
そう言って 小さな箱を取り出して来て
大きさ的に 箱の中身は腕時計だろうが
DIESELのロゴが入った箱を
みくりがこちらに差し出して来て
「フランクミューラーや、
オメガじゃなくて、
申し訳ないですけどねぇ~」
「軽自動車並みの腕時計をする様な、
そんな趣味は俺には無いけどもな。
まさか、君から腕時計を貰えるとはな」
ニヤニヤとしながら
杏寿郎がこちらを見て来て
「別にそんな意味じゃないしっ、
普段スマートウォッチだから、
こんなのもあってもいいかなって
そう思っただけだからっ」
後ろから重みが掛かって来て
圧し掛かられているのは分かったけど
頭の上に顎を置かれて
ぐりぐりと顎を後頭部に押し付けられる
「ちょ、地味に痛い、から、それ」
「もうちょっと、そんな
言い方じゃない方が俺はいいんだが?
単に誕生日ってだけでなくて、
今日、入籍するから
コレにしてくれたんだろう?」