第56章 今年の彼の誕生日は… 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「ただいま~」
「お帰り。みくり!
食事の用意出来てるぞ。
先にシャワーにするか?
食事を、食べてからの方がいいか?」
ってこれじゃあまるで…
杏寿郎の方が新妻みたいだし
「ねぇ、今日の夕飯はなに?」
「あんかけチャーハンと、
ミニトマトと卵のスープに、
中華クラゲ買ってあるぞ」
中華セットだ…今夜は…
「それとも…先に俺にするか?」
「やっ、それは今はいいってば。
もう、ん?って事は…まさか」
「じゃあ、デザートが俺か?」
「そんな、デザート要らないしっ。
それに、どっちがメインなのか…
わかんなくなっちゃいそうだもん。
あ、そうそう、杏寿郎。
そんな事して、遊んでないでさ」
みくりの言葉に
杏寿郎がムッとして
「俺は、遊んでるつもりはないぞ?
何だ?どうかしたのか?」
「ちょっと、参考程度にだけ
聞いとくんだけどもさ。
明日、お誕生日でしょ?何か
欲しい物とか…ってあるの?」
「改まって聞くから、何かと思えば
そんな事か?それに、明日の誕生日の
プレゼントなら、貰ってるだろう?」
まだ あげてないんだけども
もう 貰ってると杏寿郎が言って来て
手を洗って着替えてきたら
教えてくれると言ったので
何なんだろうと考えながら
手洗いと着替えを済ませて
リビングダイニングの方へ移動すると
テーブルの上には今日の夕食が並んでいて
「俺としたら、明日に
指輪が間に合えば良かったんだがな」
「仕方ないじゃん、刻印して貰うのに
時間掛かるって言われたんだしさ」
「俺としては、新婚旅行に行くのに。
結婚指輪して行きたかったんだがな。
GW挟むから、納期が長くなるのは
仕方ないと言われてはなぁ…」
杏寿郎が何も言わずに
エールグラスを手渡して来て
「杏寿郎?ビール飲むの?」
「ああ。これ、飲んでみないか?
ソラチ1984。サッポロの
ゴールデンエールだ、きっと
このビールも
衝撃の出会いになるんじゃないか?」
「もう。ソラチって聞いた時から
銀魂の作者って私の脳内で
変換されちゃってるけど…」
グラスに注がれる
淡い黄色のビール
注がれるだけで
フワッと北海道の大地を思わせるような
ウッディな香りが漂ってくる
衝撃の出会いと言う
杏寿郎の言葉は偽りは無くて
この香りの時点で既に 新天地の予感がする