第56章 今年の彼の誕生日は… 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「もう、今のままでも…十分だって
そう私は、思ってるんだけど…」
わざわざそうするまでも無いよね?って
そう続けようとした時に
ふと顔を上げて 彼の顔を見て
あ しまった
私は これは
不味い事を言った と思ったんだけど
にこっと笑うその満面の笑みが怖い
「それが、先方のお望みだからな。
当然、それを叶えるのが
こちらの義務だろう?みくり。
じゃあ、毎晩だな。しばらくの間は」
毎晩?って毎晩?
毎日?って事? 毎日がエブリデイ?
「えっ、それは、
エブリデイ・ロープライス?」
「どこの、小売りスーパーの
商戦なんだ?それは。それを言うなら
エブリデイ・プライスレスだろう?
それとも何か?有償で何か
追加のオプションサービスでもあるのか?」
そんな事を冗談めいて言いながらも
会議室に設置されている
ウォーターサーバーの冷水を汲んで
杏寿郎がこちらに水を差し出して来る
「まぁ、それは冗談だが…な。
とりあえず、水を飲んで落ち着くといい」
「いや、でも、流石に毎晩は…その
もしするんだったら、1回だけ…だよね?」
そう恐る恐る尋ねてみて
「…………?」
「………??」
お互いに疑問詞を付けたままで
しばらく無言で見つめ合うと
「なぜ、そうなる?」
「どうして、そうなるのよ!」
「そりゃ…、そうもなるだろう?
新婚なんだぞ?毎日もそうだろうし、
その…あれだろう?そうしたい…だろう?」
そうちょっと気恥ずかしそうにしながら
杏寿郎がそう言って来て
元々してる方だって 思ってたんだけど
彼の方はそれではダメな様で…
明日が怖い…のは
この危険性を薄々に感じていたからで
怖すぎるッ… 明日以降…どうなっちゃうの?
「杏寿郎、私さ」
「ん?どうしたんだ?」
「死ぬんじゃないかな?って思うんだけど」
杏寿郎が目をパチパチと瞬かせて
「ん?それは、幸せ過ぎてか?
何、心配する必要もないだろう…。
今までも、
これからもそれは変わらないからな。
早く、君とそうなる幸せを一緒に
俺も、噛みしめたい。
早く終業時間になるといいな」
えっと 全くそんな意味で言ってないけど
杏寿郎 嬉しそうだったし
良かった…のかな?これは…?
杏寿郎と別れて 自分の部署に戻ると
隣のデスクの同僚が声を掛けて来る