第55章 今年の黄金週間は お相手:煉獄杏寿郎 現パロ 裏なし
自分の隣で頭を抱えている
杏寿郎の事には目もくれずに
みくりがそのまま続けて来て
「で、ちょっとだけ
隠し味に赤ワインを入れてね。
そこに、冷凍庫に残ってる。
おじさんの家のミニトマトも
一緒に入れたらいいと思うの」
「ああ、ダメだ。
だから、嫌なんだ。君のその手の話は。
どうして、今、すぐに
食べれない物ばっかりなんだ?
そんな事を言われたら、想像が
頭の中で付いてしまうし。口が
その口になってしまうだろう?」
ぐびっと更に一口
みくりがグラスのビールを飲むと
「ねぇ、杏寿郎。それ、明日でいい?」
「ああ。頼む。そうしてくれ」
「じゃあ、それだけじゃダメだし。
ムニエルにしようと思ってた、
あの北海道フェアの
鮭のブロック、冷凍してあるからさ。
明日は、ムニエルじゃなくて、
ちゃんちゃん焼きにする?」
そう杏寿郎に対して提案すると
一瞬驚いた様な表情をしていて
「それは、どっちがメインなんだ?
メインにメインじゃないのか?」
「でも、折角あんなに大きな
サーモンのブロック買ったんだから
使わないと勿体ないじゃん。
ちゃんちゃん焼きだったら、
丁度春キャベツもあるし、
北海道のジャガイモもあるから」
あまり材料を買い足す必要が
無いとみくりが言って来て
「でも、ちゃんちゃん焼きにはさ
あの赤い方のビールあったでしょ?
スプリングバレー。あっちの方が
合うと思うよ?あのビールの
苦味と一緒に立つ、酸味のバランスが
合いそうな感じがするんだけど?」
ガシッと杏寿郎が
みくりの肩を掴んで来て
「みくり。君は、今までで一番
…罪深い事を言ったな?」
「罪深いって?」
「味の話だ、俺の脳内で
どっちの味も再現が出来るだろう?
その味の相性の、
相乗効果の事を言ってるんだ」
何を言ってるんだと言う
顔をしながらみくりが
杏寿郎の方を見て来て
「え?明日の夕飯は、
それにするって言ってるじゃん?
杏寿郎は、何が不満なのさ」
「俺は君の食べ物の話を聞くと
すぐに食べたくなってしまうからな。
毎回毎回、君には、お預けを
させられている気分になってしまうからな」
手に持っていた ほとんど
空になったグラスに
みくりが鼻を近付けると
温度が上がって その中のビールが
更に香りだって来る