第55章 今年の黄金週間は お相手:煉獄杏寿郎 現パロ 裏なし
でも 何だかんだ言っても
みくりと一緒に
今度はあれが食べたいや
あれを飲んでみたいだとか
そんな 話をしながら
まったりとこうして
2人で晩酌を楽しむ この時間が
コロナの影響の所為で
今となっては当たり前の時間だが
みくりが妊娠してしまえば
一緒に食事は食べれても
酒は飲めなくなってしまうんだな…
「確かに、言う通りかもな…」
そうしみじみと杏寿郎が漏らして
みくりが首を傾げた
「ん?杏寿郎?何か言った?」
「いや、俺ももう少し…ばかり。
君と2人きりの時間を…過ごしたいと
そんな事を、考えていたんだ」
「え?じゃあ…杏寿郎…」
「少し、遅らせても良いかもな?」
今は当たり前でしかない
君と過ごす この時間も
そうなってしまえば二度と…
今と同じ形では戻らないと気付いて
なら もうしばらくの間
君と2人で過ごす
この贅沢な時間を…満喫するのも
悪く無いと そう感じた
そんな 日だった
今年の黄金週間は…
「ねぇ、杏寿郎…どしてまた
急に、気が変わっちゃったの?」
それまで すぐにでも
子供が欲しい様な
そんな口ぶりだったのに…
「得る物もあるが、
同時に失う物もあるんだなと
そんな事に、不意に気が付いただけの事だ」
「何それ?変な杏寿郎」
「別に良いだろう、俺が
分かってればそれでいいんだ。
俺よりも君の方が…それに
先に気付いていたからな。みくり」
「気付いていたって?」
杏寿郎がみくりの耳に
手を当てて来て
内緒話をする様にすると
「もう少し、2人だけで居たい…って
そう、思っただけの事だ」
そんな 当たり前が
当たり前じゃ無くなるんだって
そんな事に気づかされたから
今年の黄金週間は
もう少し 後数日間の
彼女としてのみくりと過ごす
その時間の名残を惜しみつつも
愛おしくなる様な
そんな 黄金週間だった
来年は 今年とは違う
黄金週間になるのだろうから
「みくり」
「ん?何?杏寿郎」
「乾杯しないか?」
乾杯をしよう ふたりで
変わりゆく 今と
変わらない 未来に
乾杯を 一緒に
ー 終 ー