第54章 スルタンコラボ企画 中編 お相手:冨岡義勇
小野寺が杏寿郎の前に移動すると
「それに、杏寿郎さんも」
「ああ。君達の家庭教師から
座学はすぐに音を上げると
俺達の所に報告があったからな」
「だから、様子を見に来た」
「すいません…、お2人の妻となるなら。
沢山の習い事も、当然でありますし」
「みくりと、
一緒なのは嬉しいけど」
申し訳なさそうなみくりと
小野寺の方はつまらなさそうな様子で
「小野寺、今まで、草原を
駆けまわる生活をしていたんだ。
こんな所に閉じ込められて、窮屈だろう」
杏寿郎がそう言って
小野寺の腕を掴むと
そのままズルズルと引きずって
連れて行ってしまって
「心配しなくていい、あいつも
あいつで、公務に退屈してたんだろう」
「大丈夫、でしょうか?」
「馬でも一緒に乗るつもりなんだろう、
俺達も気分転換するか?」
そうみくりに義勇が持ち掛けて来て
そのまま 中庭に流れる
回廊の様になった川を眺める
しばらくの時間を過ごして
また 今度は神官らしき人が来て
結婚式の中の神事についての説明を受ける
王家の結婚式は数日に渡って
執り行われるが
最初の1日は 神事があり
この国の守護神である
太陽の神から
結婚を認めてもらう必要があるらしい
その神事は それ専用の部屋で行われ
その神事の最中は 夫婦になる2人しか
その 神事の間には入れない
その時に 太陽の神から
使命となる神託と祝福を受けるのだそうだ
その神事に備えての禊を
毎日行うのが習わしで
禊は体外からと体内から
毎日 朝日を映した 水盆の水を
欠かさず飲むのだそうだ
みくりには
ひとつ気に掛る事があった
それは”気まぐれ”の存在だ
気まぐれは闇を好む
太陽の神との交神の時はどうするのだろうか?
影が出来ない程に眩しい存在なのだろうか?
その時には 姿を変えて
神託をしに現れるらしいが
その姿は見る者により変わるらしいし
ひとつの姿を持たない存在らしい
その姿は数多
その名前も数多
故に特定の名を持たず
太陽の神と呼ばれている
太陽の神の崇拝は王都が中心で
草原の国では信仰は強制ではないし
昔から その対の神である
月の神を崇拝する文化がある