第54章 スルタンコラボ企画 中編 お相手:冨岡義勇
毎年 草原の国ではある時期に
家畜の命に感謝する 鎮魂祭があって
夜通し 火を焚いて
その上で子羊を丸焼きにしながら
頂いた命への感謝と
新しい命を家畜が授かれる様にと
願って祈る
翔兄様と小野寺が歌って
翔兄様 悠斗兄様がシタールを演奏して
父様が 鎮魂の舞の男踊りをするから
私はそれに合わせて鎮魂の舞の女踊りをする
本当だったら 夫婦で舞うのだが
うちには母様が居なかったから
その舞を舞う時は
気まぐれは私を操らないで
その燃える炎が 溶けて行く
光と闇の境界線にある闇を食べていた
普通に火を燃やして出来る
その闇とは祭りの日の闇は別らしいし
地面に落ちた
子羊の脂を飲んでいる様にもあった
その子羊を焼いた後の脂と灰が混じった場所は
水と泡が立つ不思議な土が出来る
その土から出る泡は汚れを落とす効果があって
神様からの供物への礼だと言われていた
昨日の宿のお風呂で使った
石鹸と言う奴の始まりがそれなのだそうだ
歌と踊りの先生に
舞について尋ねられてそう答えたら
そうなのだと教えてもらった
「折角だし、中庭でしましょうか?」
そう言われて中庭に出ると
先生の竪琴の演奏で
小野寺が歌って
みくりが舞を舞う
昼からは座学だと聞いていたので
双子の様子を見に行こうと
杏寿郎が義勇を誘って
王宮から後宮へ戻って来たのだが
中庭の辺りに仕事もせずに
侍女が沢山集まっていて
その人だかりの中から
竪琴の音色と澄んだ歌声が聞こえて来る
思わず
義勇の方を杏寿郎は見たが
義勇も分からないと言いたげに
小さく首を横に振る
「王子様、どうぞ、こちらへ」
その何かを見ていた侍女が
杏寿郎と義勇に場所を開けて来たので
その人だかりに適度に紛れつつ
その中央に目を向けると
双子の姿が見えて
その光景にしばらく
言葉を失いながら 見惚れる
「これは…、驚いたな。
義勇、君の妻には踊りの才が
俺の妻には歌の才がそれぞれにあるらしい」
「ああ、それも
抜きんでた才能だ、素晴らしいな」
1曲 踊り終えて
みくりが顔を上げると
見てる人は侍女ばかりだと思って居たのに
その中に義勇の姿を見つけて
「義勇様?どうしてこちらに?」
その隣には杏寿郎の姿も見えて