第54章 スルタンコラボ企画　中編　お相手：冨岡義勇

王家の妃となるべくに
午後からは座学を受ける事になり

この国の歴史についてを
家庭教師から教わる
草原に伝わって居るのは
草原を統べる王の話だったから

過去に食人と略奪を繰り返していた
蛮族との戦いをスルタンと草原の王が
共に治めた事がきっかけとなって
草原の国はこの国とひとつになったのだと
そんな話は一樹兄様から聞いていた

草原の国の民が
弓や馬の扱いに秀でているのは
草原での生活とその蛮族との戦いが
何度もあったからなのだと

このしばらくは大人しいが
また力を蓄えれば
草原の地と家畜を狙いに来るだろうからと
幼い頃から言い聞かされていた

隣で一緒に聞いている
小野寺がうつらうつらとしているので

身体を動かす事が好きな小野寺には
座学は退屈なのだろうが

その様子を見た家庭教師がため息をついて
退屈をしない内容にしますと
今日の国の歴史はここまでにして下がると

今度は　中年の侍女頭が出て来て

夜の床の作法についての
講義を受けたのだが…
菜々緒姉様に聞いたあのお話は

ほんの入り口でしかないのだと

その講義を受けて知る羽目になり

子供を授かりやすくなると言われている
ナツメ茶を飲まされる

色々な話を聞いたには聞いたが
頭が途中で働かず
内容が耳から入って来なくなってしまって

硬直していると

はぁっとため息を付かれてしまって
別の家庭教師が現れて

今度は　食事を食べる時の
所作についてを

テーブルクロスが敷かれた

テーブルを部屋の中央に用意されて

何も乗ってない
空の皿とグラスを置かれて

美しい　飲み方
美しい　食べ方

所謂　テーブルマナーについてを
あれやこれやと仕込まれる

それに疲れた頃には

少し休憩を与えられて
束の間の落ち着いた時間を過ごす

良妻であるべくに
次期スルタンの妃としての
教養も必要だと
様々な家庭教師がつけられるらしい

歌と踊りの先生が
小野寺の複数の音を出す
特殊な歌い方と
みくりの踊りの才能は
素晴らしいと絶賛していたが

歌や演奏　それから舞は

”気まぐれ”が好きな物で

私にその才能があるんじゃなくて

その歌に合わせて
目に見えない　糸の様な物に

操られる様にして舞わされるだけなのだけど