第54章 スルタンコラボ企画 中編 お相手:冨岡義勇
「純度の高い24金の腕輪…か。
それも、王家の紋章入りの
ロイヤルレッドの、ガーネット入りのか」
義勇がテーブルの上に置いた
その太い金の腕輪を
確認しようともせずに
店の主人はぼやく様に言って
「丁度、獅子の様な髪をした客が
昨日、色変わりを買って行ったが。
俺は、昨日だけじゃなく
今日も、金目の娘を見るとはな…」
店の主人が テーブルの上に
手を組んで肘を付くと
その組んだ手の上に自分の顎を乗せて
真っすぐにみくりを見据えて来る
「金目のお嬢ちゃん。アンタのその目で
探し物がここにあるか、見てみればいい」
そう 静かにこちらに言って来て
みくりが自分の金色の目を
瞼の上から押さえると
その金色の目が
僅かに輝きを放つのが見えて
ギュッと自分の胸の前で
両手を組む様にして握りしめると
ゴクッと喉を鳴らして
震える声で恐る恐るに言葉を発する
「あの…、こちらから見て、
右の一番下の段…」
そう みくり言って
店の主人が 一番右の下の段を
指差して ここかと確認して来る
いいえとみくりが首を横に振ると
「いえ、私が
言っているのは…そこではなくて」
そこまで 聞いて はぁっと
店の主人がため息を付いた
「何か、問題があるのか?」
「いや、問題はない。何もな。
これは売り物じゃない、
俺が仕入れたモンでもねぇし。
俺のじいさんやらが仕入れたモンでもねぇ」
そう言って 自分の足元の
装飾が施された飾り板をガコッと
音を立てて そこから外すと
一番下の段の棚 よりも
更に 幾つかの引き出しが
その板の裏に隠されていて
「この板の裏の棚の存在は、
俺の親父すら、知らなかった場所だ。
この店に、最初からあったんだ。
俺ですら、ここでもう、40年以上
この仕事をしてるが、知らなかった」
そう言いながらに一番下の段の右の端の
引き出しを引き出して
その中身を見て驚いた
「何だ?何もない?」
「いえ、その段は一番下ではありません。
その引き出しを抜き出した方を見て
頂けますか、その中です」
僅かに みくりの身体が震えていた
「どうかしたのか?顔色が悪い」
「怖いのです…、余りにも強すぎて…ッ」
「だが、呼ばれた…んだろう?それに」
義勇の問いにみくりが頷いた