第54章 スルタンコラボ企画 中編 お相手:冨岡義勇
義勇と宿を後にして
しばらく馬を進めた所にその
目的地はあった
なだらかとは言えない
急な坂道に沿って
白い同じ様な建物が並んでいる
絨毯や水タバコの店に並んで
そのお店はあった
その外観からは何を扱ってるのか
分からない様な看板も掲げていない
一見すれば家なのか店なのかも
分からない様なそんな小さな店で
義勇が馬から降りると
みくりが降り易い様に
自分の肩を貸してくれて
支えられながら馬から降りた
人が3人も入れば身動きが
取れなくなりそうな小さな店内には
この店の規模には不釣り合いな程に
上等のガーネットが陳列されていて
「わぁああっ、凄いですね。
これは、全てガーネットなのですか?
それも、これも、皆、上質の
ガーネットばかりにあります」
「こんな時間から、客か。
…いらっしゃい。今日は、
どんな物をお探しで?」
白髪頭の老人の店主が
そう義勇とみくりに声を掛けて来て
「青いガーネットを出してくれ」
義勇がそう静かに言うと
巻きたばこを咥えて
火を付けようとしていた
店の主人が 思わず
口から ポロっと咥えていた
巻きたばこを落としてしまった
「…昨日の、お客さんも
相当に相当なイカれた客だったが。
アンタさんは、その上のイカれた
お客さんじゃねぇかい」
老人の店主が
自分の背後にある
小さな引き出しが並ぶ棚と言うよりは
壁にびっしりとある引き出しを
順番に指先でなぞって行って
とある引き出しの前でその
指を止めると
スルッと引き出しを引いて
その中に収められていた
白い布に包まれている
ガーネットを取り出して
机の上に置いた
「青いガーネットは、幻の
ガーネットだと言われてる代物だ。
あると言う事を、知っているのも
ごく一部なほどにな…」
「それは、小さいな。大きいのをくれ」
その包まれている大きさから
欲しい大きさの物ではないと
義勇がそう店の主人に伝えて
「悪いが、青いガーネットの
時点で、相当な高価なガーネットだ。
大きな物になると、それこそ
豪邸が建つような値段になるぞ?」
「紙貨で邪魔になるなら、金で払うが?」
そう言って自分の腕の腕輪を
外すとゴトンと主人の目の前に置いた
「1本で足りないなら、もう1本だな」
そう言って主人の目の前に
太い金の腕輪をもう一本置いた