第54章 スルタンコラボ企画 中編 お相手:冨岡義勇
「悪気があってしたんじゃ
ないんですぅううっ、許してぇえ」
そう涙ながらに小野寺が
こちらに謝って来るから
「君は寝ていただけかも知れんが、
俺はとんでもない目に合ったんだが?
まぁ、この姿を見られたら、
そう言う性癖なのかと俺が、
勘違いされかねないからな。そうだな。
ならば、こうしよう」
そう言いつつ 両手の
自由を奪っていた紐を杏寿郎が
シュルシュルと解いて行くと
そのまま 横になる様に促されて
「俺に、背中を向けるといい」
「背中?」
取り合えず あちらを向いて
杏寿郎に背中を向けろと言われて
促されるままに
良く分からないままで
杏寿郎の指示に従った
「流石の俺も、夜毎に君の
腕を縛る訳にも行かないからな。
ならば、こうして眠ればいいだけの事だ」
ギュッと後ろから杏寿郎に
抱きしめられてしまって
彼の大きな手が
自分の手に重なって来て
手の甲の上から
重ねられた その手が
手の甲と手首の両方を
押さえる様にして握って来て
「縛らずとも、こうして眠れば
君が、俺に悪さをする事も出来まい?」
「あ、あの…杏寿郎さん。
私は、さっきの夢の中で
暴れる馬の乳を搾って居たのですが。
その、杏寿郎さんに…何を」
「むっ?それを聞きたいのか?
んむ、弱ったな。それを、
俺の口から、君に話すのは
少々憚られてしまうのだが」
そう 言葉を濁されてしまって
何となくにではあるけども
想像はついてしまった
夢の中の馬が暴れていたのは
私に乳を搾られるのを拒否して
杏寿郎さんがそこを
絞ろうとしていたのに 抵抗していたからで
「あ、あの…夫婦になれば
毎日、その、床を共に…しますよね?」
「まぁ、そうだな。
王族である以上は、世継ぎの事もあるし、
その辺りの名目上でもあるが」
自分がしようとしていた事を
何となくに悟った様子の小野寺が
申し訳なさそうな顔をして
自分の身体を捻って
顔をこちらに向けて来ると
「その、毎日…、私を縛っては…
頂けませんか?杏寿郎さん」
「いや、俺はその…っ、そっちは」
「でも、また、さっきみたいに…」
きゅっと重ねていた手の
握る力が強くなって
ドキッと胸が跳ねて
ドキドキと騒がしくなって来る
「いや、それはしない」
そう言い切られてしまって
「へ?」