第54章 スルタンコラボ企画 中編 お相手:冨岡義勇
「もっと食べたい…と、
そう、考えているのかも知れないが。
それは、ただの菓子じゃない」
こんなに美味しいのに
それにまだ あんなに沢山あるのに?
食べちゃダメだと杏寿郎がみくりに
対して言って来て
「もう…、ひとつだけ…」
「ダメだ。今平気なのが
奇跡的な位だ…。俺の
言っている意味が分からないなら、
教えてやろう。これを食べると言う事は。
俺に食べられる…と言う事だが?
それでも、君はこれが…ん?」
自分の肩に重みが掛かって
ズルズルと小野寺の身体が
その場に崩れて行く
すぅすぅと 赤い顔をしながら
小野寺が寝息を立てていて
ツンとその鼻の先に
杏寿郎が触れると
ぴくッと小野寺が反応して
その顔を顰めた
「…んんっ…」
ツンツンとそのまま
指で鼻の先をつつくと
「んんっ?
…すぅ、すぅ…んふぁ…、んッ」
「驚いたな…、薬の方は
効かない体質なのかと思ったが。
効いている自覚が無かったのか」
ギュッと小野寺が
杏寿郎の服を握りしめて来て
「みくり…っ」
片割れの名前を呼びながら
ギュウウと服を握りしめられてしまって
不安なのだろうな
よしよしと杏寿郎が
小野寺の頭を撫でて
「大丈夫だ。安心して眠るといい」
「う…ん、…杏寿郎…さん…」
そう言ってふにゃと
不安そうな寝顔だった
小野寺の顔が気の抜けた顔になって
すぅすぅと規則正しい寝息を立てて
その穏やかな寝顔を見ていると
「こうした方が、見やすいか」
ゴロンと杏寿郎が小野寺の
隣に寝ころんで 肘を付いて
腕を自分の枕にすると
眠っている 小野寺の顔を眺める
こんな風に誰かと一緒に眠るのは
もう随分と久しい気がする
幼い頃の記憶 まだ母上が居られた時の
その記憶が杏寿郎の脳裏に浮かんで来て
「随分と、あどけなくて
可愛らしい寝顔だな…」
だが どうだろうか
ずっと 飽きずに眠っているだけの
その顔を眺めて居られそうだ
それから どれ位の時間が
経ったのだろうか
ブルっと身震いをして
肌寒さに小野寺が目を醒ました
寒い
「んんっ、寒い…ッ」
何だろう これ
温かい 何かが自分の隣にあるのが分かって
その温もりで暖を取る様にして
身を寄せた