第54章 スルタンコラボ企画 中編 お相手:冨岡義勇
ここからは 後ろ姿しか見えないが
その身に纏っている寝巻きは
紫色に金糸の刺繍が施されているが
恐ろしい位に その身体のラインが
透けて 向こうに見える程に
何も隠して居なかった
こちらに気が付いたのか
窓の外を見ていた小野寺が
ゆっくりとこちらに振り返って
その時に その手に
ワイングラスに入った
グラスの中を山盛りに満たしている
後宮のチョコレートが見えた
慌てて 杏寿郎が
小野寺の元へ駆け寄って
クッション性のある 分厚い
寛ぐ為の絨毯の上に
小野寺の隣に滑り込む様に
杏寿郎が座ると
小野寺の顔を覗き込んだ
「小野寺!それを食べたのか?」
そう杏寿郎が大きな声で
問いかけて来たので
不思議そうな顔をして
小野寺が首を傾げて来て
「とても、美味しい菓子なので
一緒に食べる様に、と頂いたのですが?
先に頂いてしまいました。その、
沢山あったので、少し頂いても…
わからないかなぁって、杏寿郎さんも
一緒に頂きませんか?これ、
とても、甘くて、美味しいです」
ワイングラスには まだ
山を形作る程の量の
後宮のチョコレートが入っているが
小野寺がそのチョコレートを一粒
指先で摘まむと
こちらに向けて 差し出して来て
「杏寿郎さんも、頂きませんか?
さっきの、ぶどうのお礼ですよ」
そう言ってこちらに向かって
そのチョコレートを差し出して来て
グイっとその手首を掴まれてしまった
ジッとその鋭い視線が
自分に注がれているのが分かった
ギリッとそのまま掴まれた手首を
締め上げられてしまって
痛みにも似た感覚を覚える
「それを、幾つ食べた?」
「ぇと…、5つか、6つほど…
とても、甘くて、美味しかった物で」
「そうだろうな、中には
サクランボのリキュールを
固めた物が入ってるからな。
酒に弱ければ、酔う程だし」
杏寿郎の言葉に
小野寺の顔が明るくなって
「サクランボ…、今日頂いた
果物にサクランボはございましたか?
聞いた事のない、名前の果物です」
「サクランボが食べたいなら、用意させるが」
そう言って 杏寿郎が言葉を濁して来て
「?どうか…なさいましたか?」
「身体は何とも無さそうか?」
そう 心配そうに今度は見て来て