第13章 銀の流れる川 後編 お相手:竈門炭治郎
「これを、出して……下さいっ、お願いします」
そう言って涙を浮かべながら
しのぶに深く頭を下げた
「しのぶちゃん、その……」
みくりがしのぶの名を呼んで
「どうしましたか?みくりさん、
この人達の事は私にお任せ下さい。
大丈夫ですよ」
心配は無用だと言いたげに
にっこりと笑って見せた
「うん、ごめんね、ありがとう」
「みくりさんの、所為じゃないですよ、
そんな顔しないで下さい。この人達の処置は
普通の病院じゃできませんから、
うちに連れて来てもらって正解です。
後は私がなんとかしますから…みくりさんは、
炭治郎君に出会われてはどうですか?」
「あ、うん。そうだね、そうする」
しのぶに後はお願いをして
みくりは診察室を後にした
ドアを出た所で
すぐ目の前に誰かがいて
みくりはそのまま
ドアの前に居た人物にぶつかってしまった
ドンっ
「いたたっ、すいませんっ、
前を見てなくてって、炭治郎君!」
みくりがぶつけた額を擦りながら
その人物に目を向けると
自分が探していた炭治郎 本人だった
それにしても 軽くぶつかっただけなのに
額がめちゃくちゃ痛いっんだけど?
凄く硬い何かにぶつかった様な痛みだ
「ああ、みくりさんっ!
すいませんでしたぁああああっ!
頭っ、大丈夫ですか?俺、石頭なんで、
凄く痛かったんじゃ…」
「確かに、ちょっとぶつけただけなのに、
凄く痛いんだけど……」
痛みで閉じていた目を開いて
すぐそばにあった炭治郎の顔を見て
みくりは違和感を覚えた
あれ?炭治郎君って こんなに
カッコよかったっけ?
いや 確かに純朴そうな
田舎の少年って感じだったけど
顔立ちは整っていた……んだけど
もっと あの時は
おぼこい感じの子だったのに
随分と 数日で大人びたように見える
どうしてだか 分からないけど
みくりの額を炭治郎が
よしよしと擦ってくれて
「何か、冷やす物を借りてきます、
すいません、腫れてしまってますね…」
そう言って炭治郎が
その場を離れると
氷嚢を借りて戻って来た
その氷嚢を額に当てながら
廊下に置かれていた
長椅子に二人で並んで腰を降ろした