第53章 春と言えば…? 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「ふと、そうだろうなと思う節が
あったからな。だから、
不本意ではあるにはあるが。
俺は、成瀬さんとやらの
言う事を聞くしか無さそうだ」
意味の分からないみくりは
ひとり納得している杏寿郎を
気にしながらも朝食を食べて
シャワーをして支度を整えると
チェックアウトをして
トレーラービレッジを後にした
ハンドルを握るみくりに
「その、市内唯一の結婚式場と
やらはここからは、遠いのか?」
「うーん、20分ちょっとかな?
そんなに遠くないけど?」
車で20分は この辺りの感覚では
遠いの範疇にはならないらしい
「中条市の端から端まで行こうと思ったら…、
一時間ぐらいかかるかもね?」
住んでいる アパートのある市の
確か 5倍ぐらいの面積があるんだったな…
その田舎の山間の風景とは
不釣り合いなチャペルが見えて
想像していた結婚式場とは
随分イメージが違っていた
「浮きまくりでしょ?山間のチャペル」
田舎で土地があるからか
かなり広い 平地の駐車場と
ガーデンウェディングが出来る
整えられた庭と
写真を撮れる為のオプションの
真っ白なリムジンが置いてあって
「いや、予想外…の大きさだなと」
そのリムジンの奥の
ゲスト用の駐車場に周囲の山と
不釣り合いな車が停まっている
「ランボルギーニ…か、
良く燃えるイメージの車だな」
ランボルギーニのドアが
開いて ドアが羽の様に上に開く
「何っ?あれっ、ドアっ、上に開くの?」
「まぁ、知らない人が見れば
あのドアの開き方は驚くだろうな。
ランボルギーニは、ああなんだ」
車内から成瀬が降りて来て
「やあ、おはよう。
来てくれて嬉しいよ」
「いえ、こちらこそ、
お世話になりまして。
昨日の伊勢海老、ご馳走様でした。
ひとつ…貴方に俺から
お尋ねしたい事がありまして」
にこにこと穏やかな笑顔を
浮かべていた成瀬の顔が一瞬で
真剣な表情になったのが見えて
「あの時の、あれは…貴方だろうと
俺は、思ってるんですが?」
「ああ。何かと思えばそれか。
杏寿郎君、君は中々に義理堅い
性格をしている様だけど…。
俺には…、あの時のあれが何かは
全く想像も付かないよ。それに、
君がそれを俺に尋ねると言う事が
知れれば、俺からも十分だ。
さ、準備は出来てるから、入ろう」