第53章 春と言えば…? 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
遠距離になっても
お互いが忙しくても 別れはしたが
それを承知で 交際を続けていて
どうして 彼と別れる事にしたのかと
俺が知っている
あの出来事が原因なのならば
もし みくりにそれが無くて
あの出会いがなければ……
あの場所に居た彼の隣に居たのは
みくりだったんじゃないかとか
そんな事を…考えてしまっていて
「でもそれは、杏寿郎は……」
知って 聞いたところで
気分のいい話じゃないんじゃ
「ああ、どっちだとしても、俺は
それはそれで、気分が悪いだろうからな。
でも、疑問にしか思えなくてな……」
「でも、今、
私が居るのは…ここでしょ?
杏寿郎の隣だし、この先も
杏寿郎と一緒に居る……じゃダメなの?」
ギュッと手を握られてしまって
ドキッと胸が跳ねた
「俺は、君に。俺を選んだ事を、
後悔させるつもりはない。
俺としては、俺を選んで良かったと、
俺にして良かったと言わせたい位だからな」
「変な、杏寿郎。
杏寿郎で良かったと、私は思ってるよ?
杏寿郎しか、あり得ないともね」
「みくり。ありがとう」
ふぅーっとみくりが
自分の頬に手を当ててため息を付くと
「でも、杏寿郎は良かったの?私で」
「いや、君と一緒だったら
毎日が、楽しそうだなと思ったんだ。
実際、楽しいしな。休みに早朝から
筍掘りに行こう!とは、普通の女性は
あまり、言わないだろう?」
ふふふふとみくりが笑って
「春はたけのこ」
「何だその、春はあけぼのみたいな
イントネーションの、名言は?
それに、楽しいし、面白いだけじゃない。
新しい珍しい事も、共有できるしな」
トンっとみくりが杏寿郎の肩に
自分の後頭部を預けて来て
「美味しいも、だよ?
一緒に美味しい物食べたら、
もっと美味しいし。ビール
あんまり得意じゃなかったけど、
杏寿郎のお陰で、ちょこっと
前より好きに…なったみたいだしね?」
ーーー
ーー
ー
夕食を終えて
片付けはしてくれるとは 言えども
多少の下洗い位はして置こうと
2人で並んで シンクで洗い物をして居ると
みくりがそれまで
調子よく洗い物をしていた手を止めて
「ねぇ、杏寿郎」
洗い終わった 食器を
みくりがカゴに並べて行く
「ん?どうした?」