第53章 春と言えば…? 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「どうする?みくり。
建てる…か?家……。
俺は、もうしばらくあのアパートでの
生活でも不便は無いかと思って居たんだが」
「家建てるって杏寿郎はさ、
簡単に言うけど、
お家はすぐには建たないんだよ?」
その辺で何か買って来る様な乗りで
お金の桁が違う話をするから
私の未来の旦那さんは こういう時の
肝と言うか度胸と言うか男気と言うか
あるよなぁって思ってしまう
焼いていた 厚切りのタンステーキが
焼けたと杏寿郎がトングで掴んで
こちらに向けて差し出して来て
自分の取り皿でみくりが受け取る
牛タンのステーキには自家製の
ネギ塩レモンのソースがついて居て
焼きたての牛タンをたっぷりの
白ネギのみじん切りと絡めて
齧りつくと スッと歯で嚙み切れる
分厚いけど柔らかい歯ざわりをしていて
「んん~、はぁ~、
美味しい、幸せ~、マジで美味しい。
美味し過ぎて、語彙を失う」
「ああ。美味いな!
このネギと、ほんのりと効いた
ごま油の香りがまた、いい味を出してるな。
それにしても、みくりは
本当に、美味そうに食べるな」
その言葉にみくりが
ハッとして杏寿郎に
見られてたんだって気が付いても
十分に見られた後で遅かったのだが
「結構、人見知りする方…だったろう?
今は違うかも知れないが、その
大学の時はそうだっただろう?
話しかけても、2~3言ぐらいしか
返してもらった記憶が無いからな」
「だって、杏寿郎と話したら…
四方からの視線が、痛くて…。
割と、途中でトイレとか行く時に
人数合わせが生意気とか言われるし……さ?」
そう 大学に入学してすぐの頃の
出会ったばかりの頃の話をされてしまって
「俺がどうして、こんな話をするのか。
全部お見通しだろう?君には。
俺が何を…、君の口から聞こうとして、
大学時代の話をしてるのかなんて」
回りくどい言い方をして置いて
杏寿郎がそれを否定して来て
「それ…聞きたい感じ?」
みくりの顔を見れば
彼女はそれを俺に
言いたくない感じなのだと気付いて
「今は…、話せないか?」
「そうだね、話したくないの方かもね」
俺が彼女に聞きたかったのは
可能性の話だ
高校を卒業し
大学に進学するのに一旦は別れた
あの 渡辺君とは
大学に入っても しばらくは続いていて