第53章 春と言えば…? 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
パチパチと炭が焼ける音を聞きながら
ウッドデッキに備え付けてあった
折り畳みのベンチに並んで座っている
みくりの方を杏寿郎が見た
「ん?どうしたの?杏寿郎」
「いや、大勢でする、
バーベキューは勿論楽しいが。
こうして二人でする、バーベキューも
これはこれで悪くないな…と思ったんだ」
並んで座っていた みくりが
更に距離を詰めて来て
横並びからピッタリと身体の
側面が引っ付く様に座り直して来て
「他の人と一緒だったら、
こんな風にしながら……、
BBQ出来ないもんね」
みくりの言葉に ふと考えてしまった
昔から大勢でわいわいしてやる物だと
自分の中で思いこんでいたからな
「また、するか?みくり。2人で」
「アパートの近くで、
デイキャンプ出来る場所探そうか?
でも、飲みたいでしょ?やっぱり」
「アパートのベランダで、
出来たら手軽でいいんだがな」
腕組みをしながら
うーんと杏寿郎が唸り声を上げて
「それは、私が同じアパートに
住んでる住人なら嫌だよ。
知らずに、洗濯物干してたら、
洗濯物臭くなってそうだもん」
「それをするなら、
やっぱり一戸建て…か。
一戸建てなら、犬も飼えるな」
良い事を思いついたとでも
言いたげに杏寿郎が言って
「でも、勝手に
お家建てるのはダメだよ?
ご実家のご両親と、その辺りの
お話も全然してないじゃんか!
ご実家の近くがいいのかとか、
将来的に同居を視野に入れてるのかとかさ?」
「それは少々、時代錯誤じゃないのか?
若い夫婦と同居なんて、親夫婦も
お互いに変な気を遣うだけだと、
職場の奥様方も言っていたが?
それに同居なんてしたら、ゆっくりと
夫婦の時間も楽しめないだろう?」
ツンっとみくりが
自分の指先で杏寿郎の膝を突いて来て
「ねぇ、杏寿郎、それ……ってさ。
その、つまり……私のあの時の声が…」
「潜め切れないだろ?
それに、こっちもそれが無いと
張り合いが無いからな。それに
俺が、将来結婚したとしても、同居は
しないと両親が言っていたからな!」
「いや、でも…、そんな簡単に
家建てるとか、決めちゃっていいの?」
「家は、3回建てないと
自分が満足する家が建たないと言うがな。
既婚者の先輩で、家を建てた
人が数人居るが…、建ててる人が言ってるからな」