第53章 春と言えば…? 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「美味いだろう?ギネス」
「伊勢海老……、食べる?」
「ああ。あの時鳴いてたあれか……」
皿の上にドンと盛られている
姿造りの頭を見ると
さっきのあのギイギイと言う独特な
鳴き声を思い出してしまう
「でも、これは鳴いてるんじゃなくて
触覚の一部を擦り合わせて
出してる音なんだけどね?
色々な情報を発してるらしいよ?
海の中でも最大で3キロ先まで、
届くんだって。イルカとか、
コウモリのアレ、みたいなのなんだよ」
「伊勢海老は好きなのか?」
「伊勢海老は嫌いなの?」
そう逆に問い返されてしまって
「伊勢海老は美味いな」
「うん、セミエビとか、
ウチワエビとか、ゾウリエビも
伊勢海老と近いとは言えない見た目だけど。
美味しいエビだよね?見た目も
伊勢海老と近い感じなら同じ、
イセエビ属のニシキエビとか、
ゴシキエビなら見た目も良く似てるもんね」
グイっと杏寿郎がギネスを飲んで
ふぅっと息を付くと
「エビ……好きか?」
「でも、沖縄にいつか行けるんだったら。
食べてみたいなぁって~ゴシキエビ」
「美味いのか?」
「伊勢海老の仲間だから、
美味しいと思うけど?大きいから
大味な様な気がするけどね。
見た目は巨大な、色の悪い青い伊勢海老だよ」
ホラとみくりが
イメージ検索した画像を見せて来て
「でも、沖縄の市場行くんだったら、
ヤシガニ食べたいって思わない?」
杏寿郎がその言葉に顔を顰めて
「でかい、殻のないヤドカリ
みたいなやつだろう?ヤシガニ」
「ヤシガニは貴重なんだよ?
ああ、でも、ヤドカリも食べれるらしいよ?
人に飲まず嫌いって言ったんだったら、
食わず嫌いも良くないよ。
流石にヤドカリとか、
ヤシガニは買えないだろうから。
秋になったら、アサヒガニ一緒に食べようね」
「何だその、得体の知れないカニは。
聞いた事も無いが?」
みくりが伊勢海老のお造りを
自分の箸で掴むと わさびを乗せて
自分の口に運んだ
「んん~、美味しぃ~。
やっぱり、セミエビよりもウチワエビよりも、
伊勢海老が安心する味がする。」
そのまま 2人でギネスを飲みながら
伊勢海老の造りを食べる
「贅沢だねぇ」
「いい伊勢海老だからな」
「美味しい?杏寿郎」
「ああ、美味いが」
ニコニコとみくりが
杏寿郎の方を見て笑っていた