第53章 春と言えば…? 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「ネモフィラ祭りの期間が終わったら、
市内の唯一の結婚式場がありますよね?
あのドレスを、あそこに寄贈して
貰いたいんです…、いけませんか?」
「なら、5月、6月、7月にあの
中条市唯一の結婚式場で挙式予定の
カップルは、追加料金なしで
あのドレスを着れる様にして貰える様に。
あそこの式場のスタッフと話してみるよ」
「……それでは、ビジネスには
ならないんじゃないんですか?」
一流のデザイナーの間違いなく
限定のデザインのドレスだ
他所の式場なら あのドレスだけで
かなりの追加料金だろうのに
「わからないのかい?杏寿郎君。
あのドレスでお金を稼ぐんじゃなくて、
あのドレス目当てに、地元のあの式場で
挙式を挙げて貰う事に意味があるんだが?
ああ。どうせだったら広告を作らないとね。
良い事を思いついたから、話をしてくるよ」
「お断りしますが?その話」
「俺は、君には聞いてないけど?」
「話して頂かずとも、俺には分かりますし」
「みくりちゃんだけなら、あれだけど。
君も一緒だろう?それでもご不満かい?
杏寿郎君は。俺も随分と君に、
嫌われた物だな。別にそこまで
俺を警戒して貰わずとも結構だよ。
まぁ、何度も口説いて来た相手を
物にした男に。ちょっと嫌味が、
言いたかっただけだからね。
じゃあ、また、良い頃にLINEするよ」
成瀬が手を小さく振ると
そのまま去って行って
残ったのは自分の手のこの
大きな発泡スチロールの箱で
はぁっと杏寿郎がため息を付きながら
その箱を持って こっちへと来て
「ねぇ、杏寿郎、怒ってる?」
成瀬さんの言葉に返事するなって
念押しされてたの……守らなかったしな
「いや、俺としては
君の口からドレスは受け取れないと
ハッキリ断って貰ったからな。
本人に、だから、それはいいんだが…」
「ねえ、杏寿郎。成瀬さんはさ、
変な言い方だけどね?年齢はさ
あっちの方が上なんだからね。
杏寿郎が、そこまで気にしなくても……。
成瀬さんは結婚してるし、奥さんも
子供さんも居るんだよ?あの西井君の
お姉ちゃん。西井君のお家は
男の子が欲しくて、お姉ちゃんと
西井君とは大分年齢離れてるから」
うーんっと杏寿郎が
腕組みをしながら唸り声を上げていて
「地元の大地主の、お嬢さんと結婚か。
彼と年が離れていても歳の差婚だろう?」