第53章 春と言えば…? 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「折角、お越しの所、申し訳ありません。
彼女の方は、まだ体調が優れないらしく
今、奥で休んでおりまして」
「そうか、それで、君は
その体調の悪いみくりちゃんを、
介抱していた…と言う事でいいのかな?」
会話……しっかりハッキリ聞こえてるけど
一触即発な事には変わりないし
杏寿郎の顔はここからは
見えないんだけども どんな顔して
あんな事を言ってるのかは
大体の想像がみくりの中でついていて
「そうですね…、
まだ介抱の途中でしたが」
ちょ……何言ってるの???
それ介抱って言うか……
成瀬さんに
思い切り やってる最中なんですけど
って凄い言ってるよね?気のせい…?
「そう、それは申し訳なかったね。
これ、話してたお祝いだよ。
調理は、自分達でするならしてもいいし。
キッチンのスタッフには話してるから
お任せして貰ってもいいし。
でも活きてるのを見せたくてね」
はいどうぞと
大きな発泡スチロールの
箱を成瀬が杏寿郎に差し出して来て
「すいません、みくりには
私から伝えておきます」
「返事は無理かも知れないが、
聞こえては、居るんじゃないかい?」
って お返事…禁止されてるのも
成瀬さんには分かってるって事?
「実は、今日のお礼とお詫びも兼ねてね。
あのドレスを、プレゼントしようかと
そう思ってたんだがね?
結婚式のお色直しにでも、と思ったんだ。
どうだろうか?杏寿郎君」
言い方はお伺いを立てる様に
下手から杏寿郎に訪ねているが
「折角のお申し出ではありますが。
着せて倒れる様な、ドレスは要りませんが?」
「でも、このイベントの為に用意した
ドレスだからねぇ。
一回こっきりなんて、
勿体ないと思わないかい?
あのドレスには、罪はないだろうしね」
杏寿郎に怒られるかも知れないけど
ぎゅっとみくりが
自分の手を握りしめると
「あの…成瀬さん…、さっきの
あのドレスなんですけど。
あのドレスで、ネモフィラをバックに
写真を撮れるサービスを提供したら
どうですかね?そうしたらドレスも
勿体なくないですし…、私が頂くより
有用なんじゃないかって思うんです」
「みくりちゃん、
体調はもう良さそうかい?」
カーテンの向こうからそう
成瀬がみくりに声を掛けて来て