第53章 春と言えば…? 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
トサッ……
ソファの上に身体を倒されて
上から杏寿郎に見下ろされる
ジッと鋭い視線を上から
こちらに向けていたのに
その視線が一瞬にして曇るのが見えて
そのまま 縋り付く様にして
抱き着いて来て
胸の間に顔を埋められる
スゥウウ…とそのまま
そこで空気を吸われると
正直複雑な心境になるのは
私の 気のせいではないはず…
「杏寿郎…?」
胸の谷間の間でむっと顔を顰めながら
杏寿郎が恨めしそうな視線を
今度は向けて来て
「俺の気持ちも少しは、
君に、考えて貰いたいがな?みくり。
自分の婚約者に、サムシングブルーの
ドレスを着せられて、その上…
あんな結婚式紛いの登場の演出まで
されてもみてみろ?どんな温厚な
男だって、イライラ位はするだろう?」
「え?温厚…?温厚って言うのは
竈門君みたいな人なんじゃ…」
ギュッと今度は頬を強めに
掴まれてしまって
「いひゃいっ…っ!」
「この期に及んで、引き合いに
別の男の名前を出すな。流石に
温厚な俺も怒るぞ?」
むにゅっと掴んでいた頬を
そっと今度は揉んで来て
「杏寿郎…、んっ、怒ってるんでしょ?
それとも、…拗ねてるの?」
「みくり。俺を…、
安心させてくれ…、頼む」
彼のその言葉に 何を望まれているのかは
みくりにも理解が出来たので
自分の両手を杏寿郎の肩に回して
ぎゅっと引き寄せると
自分の身体を起こして
杏寿郎の手が背中に回されて
そのまま支えて来て
「杏寿郎…、私は…ね?
杏寿郎…には、伝わってない感じなの?
だから、私が不安にさせてるの?
ねぇ、伝わってないの…?
そうするって言う事だけじゃダメなの?」
「いいや。そんな事位……
俺は知っているがな?それを
知っていて、分かっていて…。
更に求めてるんだからな。
みくり、君を。
君の口から、言って欲しいし、
言葉にして欲しいんだが?」
みくりがそれを苦手だと
してるって事を知りながらに
そうして欲しいと
そうされたいと言って
君を困らせつつも
求めてしまう
どうしようもない…男だな 俺は
「みくり、言ってくれないか?」
「杏寿郎、好き…ッ」
「ああ。俺も、君が好きだ。
みくり、君が…、好きだ」
そのまま
杏寿郎に痛いぐらいに抱きしめられて