第13章 銀の流れる川 後編 お相手:竈門炭治郎
逃げたい気持ちがあるのは確かだが
ちゃんと 謝らなければ
「はい、伝えて下さい。俺は、
謝らないといけないので。みくりさんに」
「炭治郎君、それはあまり心配は要りませんよー。
みくりさんは、サバサバしてると言うか、
ある意味男らしいと言うか、あっさりした性格なので。
多分、炭治郎君が気にしてるほど、気にしてませんよ」
としのぶがにっこりとほほ笑んで言った
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しのぶちゃんの居る
蝶屋敷を目指して
みくりはその女性達と歩いていた
私一人なら 走ればその日に着く距離だが
一般人のそれも身重の女性に
それを強いる事は出来ない
あまり長い距離を歩くと
お腹も張ってしまうだろうし
大きなお腹を支えながら
普通に歩くだけでも大変だろうし
多分このまま歩けば
明日には蝶屋敷に着けるだろうから
前もってしのぶちゃんに手紙を送ったのだが
鴉が遠くから
鳴きながら飛んでくるのが見えて
返事を運んで来てくれたのだと分かった
バサバサと鴉がみくりの肩へ降りて来て
その足の手紙をみくりが外すと
しのぶから手紙に目を通した
「え?炭治郎君、しのぶちゃんの所にいるんだ。
探さないといけないと思ってたけど、
丁度良かったな」
女性を送り届けてから
方々炭治郎君を探して回るのを
覚悟していただけに
こんなに早く 居場所がわかるなんて
私自身も想像だにしていなかった
「これも、早く返せそうだし。これがないと
炭治郎君、お仕事に行けないもんね」
みくりが自分の手に持っている
風呂敷包みを持ち上げた
中には洗濯の済んだ炭治郎の隊服が入って居る
炭治郎君に会ったら
あの時のお礼言わないとな
それから 不安だったとは言えど
少し泣いてしまったのだ
私の方が年上で
鬼殺隊としても先輩なのに
恥ずかしい姿を見せてしまったし
きっとあの純朴そうな少年は
私の胸を見てしまった事を
何度も謝ってくれるんだろうけど
そんな事気にしなくていいんだよって
言ってあげないと
そうみくりは
考えていたのだった この時は
まさか自分が
その純朴そうな少年から
あんな謝罪を受けるとは
まだ この時の私は
知る由も無かったから……